第26話
商人ギルドの職員たちは、トトトゥーナを抱き抱えているムイフレスに警戒され、まるで蛇に睨まれた蛙のようである。
ムイフレスたちを担当する職員が耐えきれず逃げ出した。
新人の女性に圧抑がかかり、女性は泣く泣くムイフレスたちの担当をすることになった。
「えっと。代わりまして私が担当いたします、リタと申します。登録には時間がかかりますことを了承下さい」
「おい!」
大男が商人ギルドに入ってくるなり声を上げた。
トラブルの予感にリタは顔を引きずった。
大男はムイフレスを見るなり近づいてくる。
「ムイフレス! ムイフレス! ギムガントンを引き取りてえんだよ!」
声が大きいことにトトトゥーナはビクッと驚き、ムイフレスを見上げた。
「誰なの?」
「知る価値もない男だ」
「それはないんじゃないか? 竜人は番以外にどうでもよくなるのはあるあるなのか? 知り合いに竜人がいるんだが、番以外どうでもよくてな」
「ボク。トトトゥーナなの」
「トゥ。こいつに自己紹介しなくていい」
「そりゃないだろ!」
声が大きい大男はトトトゥーナににこりと笑った。前歯が抜けていて間抜けに見える。
「俺はガルム・トントンだ。冒険者ギルドのギルドマスターをしている」
ムイフレスはひどく嫌そうな顔をする。
「帰れ。ギムガントンはすでに騎士団が調べている」
「異分子の素材は通常の素材よりも優れてるんだよ! 俺たちが先に見つけた獲物じゃねえか」
「冒険者数人殺されて手が負えないから騎士団に回ってきたんだろうが。忘れたのか?」
「もう少し待ってくれればそれなりの冒険者を集められたんだよ」
「待ってられるか」
ムイフレスに言い捨てられることにガルムは唸る。
「竜を目撃している。竜化したんだろう? 竜化はこの国では禁止されている。黙っててほしいだろう?」
脅してきたガルムにムイフレスは鼻で笑うのだった。




