第22話
「どうした? 怖い夢でも見たのか?」
体を起こしたムイフレスは、トトトゥーナの体を持ち上げて、体を横向けにして抱きしめた。
親指でトトトゥーナの涙を拭う。
トトトゥーナは、ムイフレスから目を伏せる。
「ボクは……ボクは怖い。また裏切られるのが。でも怖い。ムイが、ムイが別の子を取るのが」
「俺にはトゥだけだ。他の奴なんて野菜だ。前にも言っただろう?」
「ボク。全然ムイについて知らないの。竜人で竜化できるの?」
「この国では竜化することは禁止されているがな」
目を見開くトトトゥーナにムイフレスは額にキスをする。
「竜化すれば被害が出るからな。翼など第二形態までは認められている」
「え、でも」
初めての出会いを思い出したトトトゥーナに、ムイフレスは笑う。
「気にするな。この国は竜人に乗っ取られることを心配しているが、実際に竜人に去られることを恐れている。多少目を瞑ってもらえている」
「ムイは隊長なの?」
「十二個ある班の八班隊長だな。因みにここに駐屯しているのは八班を入れて九班と十班だ。七班までは国での任務があり、十一班と十二班はこの森の調査をしている」
「この森?」
「四つの王国がこの森を挟んでいるんだ。森を通らないといけないから、そう簡単にどの王国も手が出せない。しかも何故だが侵略しようとした国は森に覆われ魔獣によって滅ぶんだ。そうやって生き残ったのがこの四つの王国って話だ」
「森の名前は何て言うの?」
「ゼロハクだ。いつからか、そう呼ばれている」
ゼロハク、とトトトゥーナは口の中で繰り返す。
ムイフレスはトトトゥーナの額にキスをする。
「さあ。まだ早い。眠ろう。今度こそいい夢を」
「ムイはこの口の生まれなの?」
「違う。この国には番を探し回れる理由できた。何処にだって入れるからな。そうやって番を見つけた者もいる。だがトゥを見つけたことでこの国にいる理由はないな」
「仕事辞めちゃうの?」
「金ならある。心配するな」
「でもせっかく隊長なのに。ボク、辞めてほしくないの」
ムイフレスはそうか、とトトトゥーナの額にキスをするのだった。




