↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/138

第19話

「なめらかなスープ。プンクリン。それからマヨネーズ。私は感動した。感動したとも。そして確信した。黒髪の君ならば、美味しいパンが作れると」

「勝手に感動すればいい。だが、トゥを巻き込むな。お前はいつもそうやって首を突っ込む。巻き込まれるこっちの身にもなってくれ」

「もしアリサが聖女になったとして、恩を今から売ってもいいのではないか?」

「聖女になるとは決まっていない」

「私は美味しいパンが食べたいのだ!」

「本音はそれか」

鼻を鳴らすムイフレスは呆れ返る。ギットレイドは、それに、と続ける。

「エルアーノもパンが好きだ」

ムイフレスは眉を寄せた。

「別の班を勧めたが、断られた。班にとって貴重な回復要員だが、ルパートと一緒では辛かろう。だが断られた以上、見守るしかないだろう」

トトトゥーナ は内心驚いた。エルアーノのことをムイフレスは考えていないようで考えていたのだ。

「確かに番に出会うのは至極の喜びだ。だが今までのパートナーを捨てていいことではない。況して結婚式が迫っていたというのに」

「二人でブーケの花を決めようと出向いた花屋で、ルパートの番がいたらしい。つまりエルアーノは、ルパートが番に落ちた瞬間立ち会ったことになるな」

ギットレイドは泣いた。トトトゥーナも聞いて、泣きそうになる。

ムイフレスは泣きそうになるトトトゥーナに気がついて額にキスをする。

「番ってそんなに強制的なの?」

「そんなことはない。パートナーがいれば、パートナーを選ぶことだってある。ルパートが番を選んだのは、それはルパートだからだ」

「ボク。エルアーノのために、美味しいパンを作るの」

「そうか!」

嬉しそうにギットレイドが答える。

「黒髪の君ならば、そう言ってくれると思ったよ! ては行こう!」

「今からなの?」

「早い方がいいだろう?」

「美味しいパンを作るには、時間がかかるの。酵母菌って知ってる? パンには欠かせないものなの」

ギットレイドは首を振り、涙を手で拭う。

「知らないな。菌が必要なのか」

「それを作ってからパンを作った方がいいの」

「ではその方法を教えてもらえるかな?」

「エルアーノなんか放っておけばいい。トゥはこれから私と一緒に寝るんだ」

ギットレイドを手で追い払うムイフレスにトトトゥーナは眉を下げる。

「ムイ。ボク。エルアーノのために美味しいパンを食べさせてあげたいの」

「なら一緒に風呂に入ってくれるか?」

「それは話が違うと思うの」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。