第18話
ムイフレスに用意されている部屋は広く、殺風景だった。
そのことにムイフレス 決まりが悪そうにする。
「寝るだけだったから。だがトゥが好きな物を置いていい。これからはトゥの部屋でもなるのだから」
「そうなの?」
「別々の部屋なんて耐えられない」
ムイフレスはトトトゥーナを抱き抱える。
「今日は疲れただろう? このまま寝るか? それとも風呂に入るか?」
「因みに一人でお風呂入れるの?」
「風呂の操作方法なんな知らないだろう?」
「お風呂は一人で入りたいの」
「トゥはまだ子供だ。邪な考えは持っていない」
トトトゥーナはそう言われて迷ったが、首を振った。
「やっぱり一人がいいの」
「そうか。なら操作方法を教えよう」
何処か残念そうにムイフレスはトトトゥーナの額にキスをする。
そのとにノックがされた。
「ギットレイドだ」
「入れ」
「失礼する」
「報告しろ」
「報告する。ギルド側がギムガントンの亡骸を要求してきた」
報告を受けるムイフレスは眉を寄せた。
「お前が危惧していたことが当たったか?」
「竜化したのを見たと。それを黙っている代わりにギムガントンの亡骸を要求された。こちらは擦り付けられたというのに。なのでこちらも擦り付けられたことを黙る代わりに、ギムガントンの亡骸を要求するのをやめろと言ってやった。あの人族め。絶対後ろ暗いことをしているぞ」
「痛み分けか。だがしかし亡骸はこちらにある。こちらが分がいいか。よくやった。報告は以上か?」
「それとは別にあるんだが、少し気になってな」
頬を掻くギットレイドにムイフレスは続けろと言った。
「ギルドに娘を連れてきた母親がいたんだがね。何でも娘が夜の精霊に魅いられたとか。ギルドは相手にしなかったがね。少しばかし気になったのだよ」
「大抵は友達だが。祝福を与えられたら、聖女になる可能性も出てくるが。今の時点では動きようがないし、そもそも管轄外だな」
「やっぱりそうだよねぇ。私もそう思って名前しか聞かなかった」
「名前を聞いたのか?」
呆れるムイフレス。ギットレイドはええ、と笑う。
「娘の名前はアリサ。母親はロザリア。家族経営で〈赤い屋根のパン屋〉を細々としているようです。そこで、黒髪の君の力を借りたいのだよ」
「え? ボク?」
突然の指名にトトトゥーナは驚いた。
ムイフレスは嫌そうにトトトゥーナを翼で隠すのだった。




