第17話
人気のない場所で、エルアーノは泣いていた。
グレンアーグはエルアーノの背中をさすっている。
「エルアーノ……」
ハッとトトトゥーナを見るエルアーノは手で涙を拭う。
「どうしたの?」
「番の呪いだよ」
グレンアーグが答えた。
「番の呪い?」
グレンアーグは頷く。
「そうさ。エルアーノとルパートは、結婚を間近にして、ルパートに番が現れたのさ。結婚式が迫っている中で、ルパートは番を選んだんだ。番の呪いと言わなくて何だって言うのさ?」
トトトゥーナは眉を下げる。
「エルアーノ……ボク」
言葉を失うトトトゥーナに、エルアーノは無理に笑ってみせる。
「分かっていたんだ。ルパートは番じゃないことは。番を見つけられるのは僅かだ。そして見つけられたのなら、祝福をするべきなんだ」
「一緒にいて辛くないの?」
「他も似たようなものだ。ならベルベルトの部下がいい。グレンアーグと一緒がいい」
「おーれも。エルアーノと一緒がいーいね」
トトトゥーナは仲良しの二人を羨ましそうに見つめる。
恋人に裏切られて邪神のなり強制的に眠らされた。
支えてくれた者がいれば、邪神にまで堕ちることはなかったのかもしれない。
裏切った恋人を殺そうとした。
浮気相手を殺そうとした。
浮気相手が人族の娘だったので、人族の娘たちを殺そうとした。
殺す寸前で、全知全能の神によって、強制的に眠らされた。
今の姿は、力がほとんど眠りについているからだ。
本来の姿は、大人である。
「ボク。おまじないしかできないけど。番に出会いますように、おまじない、する?」
「してくれるのなら、頼もうか」
トトトゥーナは頷き、口元に手を添えた。
「エルアーノが番と出会えますように」
息を、吹きかけるのだった。




