第16話
まろやかなスープにプリンにマヨネーズ。
噂が広がり、多せの者たちが食堂に集まった。
プリンだけは、プンクリンと間違った名前で定着した。
一心不乱で野菜にマヨネーズを付けて食べていた料理人たちは思い出す。己らは料理人であることに。
皿にスープを注ぎ、待っている人たちに渡していく。本来ならば食事の時間帯ではない。
だがそんなことを言ってはいられない。
スープを飲む人たちは目を見開き、歓喜する。
レオンとロズも料理人からスープを受け取り、スプーンでスープをすくい口に運ぶ。二人は目を見開き、歓喜した。
ルパートもスープを受け取り、スプーンでスープをすくい口に運ぶ。目を見開き、もう一口口に運ぶ。
「旨いな」
「ルパート?」
声をかけてきたのは女性だった。
グレンアーグは眉を寄せ、エルアーノは背中を向ける。女性に、ルパートは笑いかけた。
「レナも食堂にきたのかい?」
「ええ」
この女性こそが、ルパートの番だった。
グレンアーグはエルアーノの肩を抱いて、混雑している食堂から出ていった。その姿を女性は目で追う。
「レナ。スープはもう食べたかい?」
レナ・ヒュートン。それが女性の名前だった。
「まだよ」
人族で、番は分からない。だが、番についてなら知っていた。
ルパートは知っていた。レナはグレンアーグが好きなことを。
知っていて、見ないフリをしていた。
エルアーノたちが食堂を出ていったのをトトトゥーナは目にする。
「ムイ」
ムイフレスを見上げると、額にキスされる。
「エルアーノを追いかけてなの」
「気にしなくていい。グレンアーグがいる」
「でも……心配なの。ムイ。お願い、なの」
ムイフレスは心配するトトトゥーナの額にちゅっと音を立ててキスをした。
「お願いを聞き届けよう」
愛おしそうに言うのだった。




