第14話
厨房に現れたムイフレスはエルアーノたちに凍てついた眼差しを向ける。
「エルアーノ。どういうことだ? 部屋に案内して食事を出せと言ったはずだが?」
「案内し食事も出したさ。だがミルクを欲しがってな。一緒に厨房に行くと言うものだから一緒にに連れてきたんだ。で、デザートのプンクリンを作ったのだが、番殿の分まで食べてしまったんだ」
凍てついた眼差しを料理長に向ける。
料理長と料理人は額から冷汗をかく。
「ミルクはスープに入れるとまろやかになると仰られ、本当にまろやかになったので、他にないかと尋ねた所、プンクリンと仰られ、指示の下作りましたら、素晴らしいプンクリンが出来まして、つい嬢ちゃ、番様の分まで食べてしまったのです」
さすがに、料理長はガハハ、と笑わなかった。
「今すぐ作れ」
作れるか、ではなく作れと命令するムイフレスに、誰も何も言えず、料理長と料理人は慌てて動く。
ムイフレスは愛おしそうにトトトゥーナを見てくる。あれほど凍てついた眼差しをしていたが、嘘のようである。
「トゥは物知りなんだな」
「スープ飲む?」
頷くムイフレスにトトトゥーナは皿にスープを注ぐ。
皿を受け取るムイフレスはスプーンでスープをすくい口に運んだ。
「旨い」
トトトゥーナはエヘヘと笑う。
「あの、俺らもいいですな?」
遠げにしていた料理人たちが恐る恐る近づいてきた。ムイフレスはトトトゥーナを抱き抱える。
「いいの」
トトトゥーナが答えると、料理人たちは安心して皿にスープを注ぎ、スプーンで口に運んでいく。
目を見開き、互いに頷く。
「番様。他に教えてもらえませんか?」
「我々に教え頂きたい」
ムイフレスは嫌そうな顔をする。
トトトゥーナは困った顔をする。
「私も気になる! 作ってくれ!」
エルアーノが背中を押すのだった。




