第135話
「ステラ!」
街の避難所から出てきた孤児院の子供たちとステラは、息を切らしながら駆けてきたエドモントを見た。
「ギルドマスターさん」
「大丈夫でしたか!?」
「はい」
深く息を吐くエドモントに、ステラはエドモントの手を掴む。
エドモントはステラを見る。
「あなたは私が思っている以上に心に入り込んでいるようです」
ステラを抱き寄せる。
「私のことはどうぞ、エドモントと呼んで下さい」
「はい。エドモントさん」
ステラは頬を赤らめ、孤児院の子供たちはそんな二人に拍手した。
お腹が大きくなったソフィアはレオンを探していた。その隣にはシルディオスがいた。
片腕を押さえながら、レオンがソフィアの前に立った。
二人は抱き合った。
その通りをエリュシアが通る。
「ベルちゃん!」
辺境伯家の騎士団の司令官としてキリーベルは嫡男として戦いに赴いていった。エリュシアは多くの倒れている騎士を見る。
「エリュシア」
片目に包帯を巻いた男の姿をしているキリーベルが前に現れた。
エリュシアは駆けていき、キリーベルに抱きついた。
「ベルちゃん!」
「心配かけたわね」
エリュシアは包帯を巻くキリーベルを見る。
キリーベルは苦笑う。
「部下を庇ってね」
「エリュがベルちゃんに相応しい眼帯を作るでありますよ」
「あらそお?」
二人はどちらからともなくキスをした。
荷物を抱えて街から出ていこうとした冒険者のギルドマスターであるガルムの前に、ハアシュカが立つ。その後ろをムイフレスたちがいた。
「何処に行くのかね?」
ガルムは荷物を落とし、腰に下げていた剣を引き抜いた。
ハアシュカはガルムの後ろに騎士が集まるのを見る。ガルムもそれを見る。
「お前には二つの選択肢がある。王都に連行され、スタンピードを引き起こした大罪で処刑されるか、今ここで毒を飲み自決するか。自決すれば、連座は免れるようだ。さあ、どうする?」
「親父!」
騎士の若者が声を上げる。その声は震えていた。
「毒を、毒を飲んでくれ! 息子は生まれたばかりなんだ!」
「だ、黙れ! 王都なんかに行かないし、毒も飲まないぞ!」
若者はガルムに駆けていき、剣を引き抜いた。
切りつけた剣を、ガルムは受け止める。
それを見た騎士たちが駆けていき、剣を引き抜いて振り下ろす。
多勢に無勢だった。
切りつけられ、倒れたガルムに若者はハアシュカから小瓶を受け取り、震える手でガルムに毒を飲ませた。
ガルムは血を吐き、白目を剥いた。
若者はガルムから離れ、震える手を見る。
仲間の騎士が若者の肩を叩く。若者は仲間の騎士を見る。
「お前は何も悪くない」
ハアシュカは白目を剥くガルムの首筋に手を当てる。
「毒を飲んで自決したのを確認した。死体は王都に運ばれ、死亡を確認される」
「終わったな」
誰かが吐いた。




