第134話
クリスタル・ゼロは、“不滅の王”に“恋人”の髑髏を返した。
髑髏は女性の首になり、“不滅の王”は美しい男性の姿になった。そして“不滅の王”は、女性の首にキスをした。
その瞬間“不滅の王”は消えた。
離れて見守っていたムイフレスたちは、誰かが溜息をついた。
迫りくる魔獣が止まった。
竜になっていたデュークは、人の姿になる。
スタンピードの終わりを告げる鐘が鳴る。
身を隠していた街の住人が、家族や恋人の騎士の姿を探す。
泣き叫ぶ声や歓喜する声が混ざる中で、アリサはヤーファを探していた。
「アリィ」
声に振り向き、ヤーファの姿を見つけたアリサは飛び上がって喜び駆け出した。
二人は抱き合う。
アリサはヤーファにキスをしようとして、花柄の瞳に気がつく。
「あなた。目が変わってるわ」
ヤーファは目を落とす。
「私は、人族じゃないかもしれない」
アリサはヤーファにキスをした。ヤーファは驚いて目を丸くする。
「あなたが生きててよかった。たとえあなたが悪魔だろうと構わないわ」
ヤーファは泣きそうになりながら、アリサにキスをした。
その隣ではドルトがファーリスを見つけて抱きしめていた。
スタンピードの終わりを告げる鐘を聞いて、孤児院の地下室で息を潜めていたカーターとコゼットと小さな子供たちは深く息を吐いた。
「どうやら終わったようですね」
「お姉ちゃんたち大丈夫かな?」
「大丈夫ですよ。街の至る所に避難所がありますからね」
「院長。愛してるさね」
突然のコゼットの告白に、カーターは目を白黒させる。
「いつ死ぬか分からないさね。なら、言いたいことを言うさね」
小さい子供たちは口を閉ざす。
カーターは胸元を押さえる。
「私なんかより、いい人が見つかりますよ」
「捨て子のあたしなんか、好きになれないさね?」
「捨て子は関係ないですよ! 私は地獄に落ちる身です。そんな私よりも、別の人を探しなさい」
「一緒に地獄に落ちるさね」
そう言うコゼットに、カーターは泣きそうになるのだった。




