第133話
「どういうことなの?」
「邪神様」
信者たちが少女に平伏する。
「世界を滅ぼし、そして再生して下さい。そうすれば我々は幸せになれます」
少女の手元に杖が現れる。それを握りしめ、トン、と地面を叩いた。
地面が崩れた瞬間、元に戻った。
「世界を滅ぼさなくて、いいんだよ」
美しい男性が現れた。
少女は首を振る。
美しい男性が少女に息を吹きかけると、杖が消えた。
「君はまだ名前がないから、世界から認識されないよ」
「世界を滅ぼす。そして再生させる。それが私の役目。私の存在する意味」
「そんなことをしなくても、僕が君に名前をあげるよ」
「私の名前?」
「僕はクリスタル・ゼロ。君は、クリスタル・イヴ。イヴだよ」
祝福されるように、風が吹いた。
「僕と一緒に、脆くて醜くて、そして愛おしい子らを見守ろう。本来森の意思と見守るはずだったんだけど、見つけた伴侶が災いを呼ぶ娘として処刑されてね。“祟り神”になってしまった」
ハアシュカは髑髏を取り出すと、それをクリスタル・ゼロに見せた。
「これは本物の“不滅の王”の“恋人”だろうか?」
「本物だね」
ハアシュカはホッとしらクリスタル・ゼロを見る。
「あなたは何者だろうか? それに彼女は、廃王太子は?」
「私は“世界の意思”だ。クリスタル・イヴは、邪神教の信者たちの“希望”から生まれた存在であり、廃王太子は依り代になった」
「廃王太子は死んでしまったと考えていいのかね?」
「そうだね。廃王太子の核は残っているが、それを構築されたイヴは別人だと思っていい」
クリスタル・ゼロはいつの間にか髑髏を持っていた。
「僕が返そう。お前たちでは荷が重たかろうからね」
額に目玉がある狼の魔獣がヤーファの片腕を噛み千切った。
顔を歪めたヤーファの瞳が花柄になり、噛み千切られた腕が再生した。
剣を握りしめ、狼の魔獣の首をはねた。
再生した腕にヤーファは驚くのだった。




