第131話
「何てことをしたのだ。何てことを」
カーターは手で顔を覆い、指の間からハアシュカを見る。
「“不滅の王”が目覚める前に“恋人”を返さなければいけません」
「それを分かっている。だが本物であるか調べなければならない。我々はそれを知らない。あなたならば本物か分かるのだろう?」
カーターは顔を撫で回す。
「分かるといっても、“恋人”が魔晶人かどうかですよ?」
「滅んだ魔晶人の髑髏がそう何個も見つかるものかね?」
「何とも言えませんね」
カーターは髑髏を掴むと、額の折れた角に額の宝石に当てた。そしてそっと折れた角から髑髏を離す。すると美しい宝石がうっすらと点滅した。
「共鳴が起きましたね」
カーターは髑髏を撫でる。
「魔晶人な有角人から生まれた一族です。角で宝石に触れると、このように共鳴が起きます。その髑髏は、魔晶人で間違いありません」
ハアシュカは深い溜息をついた。
「そうか。“不滅の王”の“恋人”の可能性が高まったな」
ハアシュカは髑髏を持ち上げて消した。亜空間に入れたのだろう。
「この国の王は何と?」
「本物なら“遺憾”、とさ。この国の王は人族だからね。“不滅の王”はおとぎ話だと思っているんだよ」
カーターは深い溜息をついた。
「前に起きたのは二百年ぐらい前です。それでおとぎ話ですか」
ムイフレスとギットレイドとエルアーノたちが首から下げているタグが浮かび上がり、一斉に声がした。
──森に異変あり! 至急! 至急! 集合するべき! 集合するべき!──
「ベルベルト!」
エルアーノが魔方陣を構築する。
「待ってくれ! ニヴェスも連れていく!」
「早くしろ!」
ギットレイドはニヴェスを呼ぶ。
顔を出したニヴェスをギットレイドは駆け寄り、驚いているニヴェスの腕を掴む。
鐘が鳴る。それは普段鳴らない。
鳴るとしたら、スタンピード。
カーターは椅子から立ち上がり、小さい子供たちの元に駆けていく。
それ以外は商売に出ていた。
魔方陣にギットレイドとニヴェスが足を踏み込んだ瞬間、ムイフレスたちは転移したのだった。




