第129話
「話が逸れているぞ。アレキサンドリアが人から好かれていないのをわざわざ指摘するために集まったんじゃないだろう?」
エルアーノの指摘にギットレイドは二本の指を立てる。
「二つ。確かめたいことがあるんだろう?」
「その通りであります。一つは邪神教の信者である人物に接近し、廃王太子の生贄の場所を調べることであります」
「それでアクセルか?」
前に出ようとするアクセルを隠すようにエルアーノは前に出る。
ハアシュカはいや、と否定し、カーターを見る。
「“幸せになった古代竜の名前”の番ではなく、院長、カーター。あなたが、我々は今だツケがあると思っている。現に邪神教の信者だったアクセルがカーターの元にきている。これは偶然か?」
「それは偶然だと言うしかありませんね」
ハアシュカは眉を寄せる。
「それを信じろと?」
「見ての通り私は有角人なので、大勢の子供たちが巣立っていくのを見送り、今だ彼らと繋がりがあります。その中で邪神教の信者になった子供たちも含まれています。その子らから知らせてくれる情報があります。ただ、それだけです。その中に廃王太子のことは書かれていませんでしたし、アクセルは偶然ここにきたのです。それを信じるか、あなたたちに任せるしかありません」
ハアシュカは自身の額を指で叩く。
「角。どうしたのかね?」
「売りました」
ハアシュカは深い溜息をつく。
「二つ目のことなんだが“不滅の王”について知っているかね?」
「ええ。子供たちが墓荒ししても、“不滅の王”が眠る墓場には近づかないように言い聞かせています」
トトトゥーナは首をひねってムイフレスを見た。目線に気がついたムイフレスはトトトゥーナの額にキスをする。違う、そうじゃない、とムイフレスの胸を押し返した。
「“不滅の王”って一体何なの?」
「番殿は知らないのか?」
「エルアーノは知っているの?」
「この辺境にきてから、騎士団の規律を知らされる前に知らされるほどにな」
「“不滅の王”が墓場で眠っているの?」
「そう言われている」
エルアーノはハッとする。
「まさか墓荒しか?」
ハアシュカは何もない所から髑髏を取り出した。その額には美しい宝石が埋まっている。
カーターは目を見開く。
「まさか……“恋人”か? “恋人”が墓場から掘り返されたのか!?」
ガタンとカーターは立ち上がるのだった。




