第128話
コゼットに紅茶を頼み、応接室に案内する。
ソファーにハアシュカが座り、マージョリーは膝の上に座る。ムイフレスたちは後ろに立つ。
エルアーノはアクセルが裾を掴んで離さなかったので、アクセルを引き連れて応接室に入った。
相変わらずアネモネを背負っている。
「すみません。椅子必要ですか?」
ハアシュカはムイフレスたちを見る。トトトゥーナとクージュはムイフレスとハロルドに抱き抱えられている。
「椅子必要かね?」
ムイフレスとハロルドは首を振り、ギットレイドとエルアーノも首を振った。
「その者がエルアーノの番だね。記憶は戻らないのかね?」
ハアシュカの指摘にエルアーノはアクセルを庇うように背中に隠す。
「一度森に飲み込まれたんだ。そう記憶が戻るとは思えない」
リデルエルエーゼの癒しの歌で一時期に記憶が戻ったことは言わない。
「そう。彼は森に飲み込まれたんだ!」
ハロルドは興奮したように声を荒げた。
「あの森には意思がある! 戦争をしようとした国が森に飲み込まれたのは、森には意思があるからだら!」
クージュがハロルドを落ち着かせようとするが、アクセルに興味津々だ。
「彼を許してあげて。あの森の“ゼロハク”の研究をしているの」
「何をしてどうやって“ゼロハク”から帰還したんだ!?」
ここでトトトゥーナのおまじないだと言えば、面倒なことになりそうだ。それを分かってか、エルアーノは口を閉ざした。
クージュはハロルドの頬を叩いた。それでもまだ言おうとするハロルドの頬をまた叩く。
「いい加減にしなさい! それだから人から嫌われているのよ」
初耳だと、ハロルドは狼狽える。
「え? 私嫌われているの? え? 冗談だよね?」
クージュはかわいそうな目でハロルドを見る。
「自覚がなかったのね」
ハロルドはムイフレスを見た。
「兄弟。私嫌われているの? え? 本当に?」
「自覚がなかったんだな」
「え? 本当に? え? 本当に?」
ムイフレスは何でもないかのように言う。
「俺以外に親しい奴がいるか?」
「いやいない。でも兄弟も私以外に親しい者なんていないでしょう?」
「いやいるが」
「いるのかよ! え!? 本当に?」
トトトゥーナはそれに首をひねる。
「誰なの?」
「宝石工房の親方のドルト」
トトトゥーナは目を丸くする。
「仲よかったの?」
「まあな。トゥに出会う前はよく酒を交わしていたな」
それを聞いてトトトゥーナは眉を下げた。
「ボク。邪魔?」
「そんなことはない。あいつも恋人を見つけたようでな。よく恋人と飲んでいるようだ」
トトトゥーナはホッとするのだった。




