第125話
集団訓練に九班と十班の隊長が勝手に部下を使うなとムイフレスに抗議がきた。
ムイフレスはそんな抗議に鼻で笑い、こちとら六人しか部下がいないのを黙っているのだと言い返した。
ムイフレスが竜人族であり、また部下も竜人族がいることから、それを理由に九班と十班の隊長は部下を多く取っているのだ。
ムイフレスが何も言わないので、デュークも何も言わないが、それをいいことに班に充てられる予算も二人の隊長が多く取っているのだ。
二人の隊長はそれ以上は何も言わず、去っていくのを、トトトゥーナは舌を出した。
「どうして何も言わないの?」
「見栄ばかりの者はいらんからな」
「兄弟。グレンアーグは? あいつも兄弟の部下だろう?」
「グレンアーグは番を見つけて、番の所だ。騎士は辞めた」
ハロルドは目を丸くする。
「そうか。あいつ番主義者でもないのに相手も作らなかったよな? そもそも他人に興味がなかったよな。今何処にいるんだ?」
「詳しいことは知らん」
「エルアーノの方が知っているか。そういえばダークエルフの番ができたんだっけな」
この国の情報が知られている。
だがムイフレスはどうでもよさそうに、ああ、と答える。
「エルアーノの番は記憶喪失で、普段は孤児院にいるんだっけな。孤児院に連れていってくれないか?」
ムイフレスは眉を寄せる。
「休養できたんだろう? 何故孤児院に?」
「一番は休養だ。だが確かめたいことが二つあってね」
「二つもか?」
「まあまあ。ちょっと確かめるだけだから。いいだろう? 兄弟」
ムイフレスはボロボロになっている隊員を癒すエルアーノを呼び寄せた。
「何だ?」
やってきたエルアーノは少し疲れを見せていた。
「これから孤児院に向かう。お前もこい」
「え?」
「兄弟はお前の番がダークエルフだと知っていた」
「それは……」
アクセルは、邪神教信者だった。
それを知られている可能性を暗に伝える。
守るならお前が守れ。
暗にそう伝え、エルアーノはしっかりと伝わったのか、同行を願い出るのだった。




