第124話
隊員たちは総隊長であるデュークに敬礼する。
ギットレイドとエルアーノも素早く敬礼し、ムイフレスも面倒臭そうに敬礼した。
「何故、隊員たちがここまでボロボロになっているんだ?」
隊員たちは一斉に一歩後ろに下がった。隊員たちより前に出ている形になったムイフレスに、デュークは目を向ける。ギットレイドもエルアーノも一歩後ろに下がっていた。
「マージョリーを怒らせて、だから気が済ませようと集団訓練を行った。倒れれば回復役によって回復させ戦いに戻すやり方でな」
デュークは深い溜息をついて、隊員たちを見回した。
「外見で馬鹿にしたのだろう。誰だ馬鹿にしたのは? 前に出ろ」
数人が前に押し出された。
デュークは深い溜息をつく。
「後で私の執務室にきなさい」
数人の隊員たちは顔を青ざめる。
「それで。妖精竜殿は気が済んだだろうか?」
「一人だけ成長が楽しみな者がいたであります」
一人だけという言葉に、見込まれたことに喜べばいいのか、一人しかいないことに落胆すればいいのか、デュークは複雑そうな顔つきになった。
「それで誰ですかな?」
「それは……」
マージョリーはそこで名前を知らないことに気がついた。
ボロボロになっている隊員たちを見回して、指を指す。
「あの隊員であります」
デュークはその隊員を見て、目を丸くするヤーファに前に出るように声をかけた。
前に出たヤーファに、マージョリーは頷く。
「その者であります。名前は何というのでありますか?」
ヤーファは背筋を伸ばした。
「私はヤーファ・ソーニであります」
デュークはマージョリーを見る。
「この者は最近騎士になった見習いだ。この者が目を見張るものがあったのか?」
「この者次第であります」
デュークはヤーファを見る。
ヤーファの履歴には目を通していた。五回も連続で入団テストに落ちていた。
面接試験で騎士になりたいと熱い思いを語り、それは見栄を張りたいというものではなく、人々や国を守りたいという強い忠誠心によるものだった。
たとえ死んでこいと命令されたとしても、命令に従うだろう。
それを高く評価され、ヤーファは入団テストに合格したのだ。
今まで合格しなかったのは、今まで実技だけで決められ、ヤーファは基準に満たなかったのである。
「聞いたか?」
デュークが問いかければ、ヤーファは背筋を伸ばす。
「はっ」
「慢心することなく、これからも励めよ」
ヤーファは感極まって泣いたのだった。




