第123話
「ギットレイドは“愛しき我が子”だ。エリュシアは“宝物”という意味がある」
「ちょっとマージョリー! あなたねぇ、何をやっているのよ!?」
ハロルドに抱えられているクージュが声を上げた。
マージョリーはしゅんとする。
「彼女は悪くないよ。彼女は馬鹿にされたからね」
「ハアシュカ! 何のためについてきたのよ!! こうならないためについてきたんじゃないの!?」
「馬鹿にされて黙ってろと? 国に仕えているんだよ? そのまま国を馬鹿にされているのと同位たよ?」
「そもそもマージョリーは私の護衛でしょう? どうして離れているのよ?」
「そもそも叔母上が休養の“古代竜と友人になったとされる騎士の名前”についてきたのが発端ではないか」
トトトゥーナは首をひねる。
ハロルドはああ、と苦笑いする。
「殿下は人の名前を呼ぶときは古代語で呼ぶんだ」
「ボクは? ボク。トトトゥーナっていうの」
エルアーノが倒れているヤーファを癒している。
「ベルベルト。集団訓練は終わりでいいのか?」
ムイフレスは周囲を見回す。集められた隊員はボロボロになっている。
「まだ元気そうだな」
ボロボロになっている隊員は顔を青ざめる。
「もう十分でしょう」
クージュがムイフレスを止めた。
マージョリーは何か言おうとして、やめた。
ボロボロになっている隊員は女神様と感謝する。
意識を取り戻したヤーファは、慌てて立ち上がって構えようとするのを、エルアーノが声をかけた。
「集団訓練は終了だ」
「へ? そう、ですか」
深く息を吐いたヤーファに、マージョリーが声をかけた。ヤーファは敬礼まではしないが、背筋を伸ばした。
「自分の突きを押し返したのは目を見張るものがあるであります」
「ありがとうございます」
「でも自分はそこからの攻撃を回避できたであります」
ヤーファは素直に頷く。
「はい」
「君はそこからのさらに先の動きを考えていれば、成長ができると思うでありますよ」
「ご忠告ありがとうございます」
ハアシュカがマージョリーの腰を抱く。
「彼女は私の番であり、妻であり、母親だ。惚れないように」
ヤーファは目を丸くし、フッと笑う。
「ご心配なされないで下さい。私にも恋人がいますので」
「そうか。だが時には過ちが存在する。そうならないように励め」
「肝に銘じておきます」
ギットレイドはやれやれと溜息をつく。
ハアシュカはトトトゥーナに顔を向けた。
「君の名前に近い古代語は“聖なる領域”かな」
「エルアーノは? グレンアーグは?」
続け様に質問するトトトゥーナに、ハアシュカは笑う。
「古代語に興味があるようで、さすが竜人族の番だね」
「私の名前は“幸せになった古代竜の名前”で、幸せになるようにあやかって付けられたたんだ」
エルアーノが間に入ってきた。
「名前が聞こえたものでな」
「グレンアーグは?」
「“永遠の友”だ」
「これはどういうことだ?」
声が、した。




