第119話
ノックされる。
ムイフレスが入る許可を出すと、隊員が入ってきた。
敬礼する隊員は客人を案内しましたと報告する。
「分かった。通せ」
隊員は敬礼し、出ていく。
その入れ替わりに、美しい男と美しい少女が入ってきた。
「兄弟」
片腕を広げる美しい男にムイフレスは腕を広げながら出迎えて抱き締めた。
「兄弟。息災だったか?」
「腕以外はな」
美しい男はソファーに座っているトトトゥーナに気がつく。
「彼女が兄弟の番か?」
「誰から聞いた?」
「ギットレイド様がこの国で騎士をしておられるからな。その筋の者だ」
「なるほどな」
ムイフレスはトトトゥーナに目をやる。
「トゥ。こいつがハロルドだ。そして番であり王女であるのがクージュだ」
「王女様なの。呼び捨てにしたら不敬で首を落とされるの」
「お忍びの意味を王族が知らない訳がない」
トトトゥーナはソファーから立ち上がってクージュを見る。
「あの。ボク。トトトゥーナなの」
クージュはスカートの裾を軽く持ち上げた。
「ご挨拶受け取りました。私のことはどうぞクージュとお呼び下さいな」
「でも実際そう呼んだら周りから怒られそうなの」
「この国にいる間だけなら大丈夫よ。もし何か言われたら私に知らせて」
「首を落とすの?」
「あなたの王族のイメージってそうなの?」
「ボクがいた世界では、ゴホン。そうなの。首を落とすイメージなの」
ハロルドがクージュの頭をポンポンとする。
「アハハ。兄弟の番。大丈夫だ。竜人国の王族に馬鹿はいないから、クーと友達になってくれ」
「ちょっとハル! そんなこと言うんじゃないのよ! 友達にならないといけないと思うじゃないの!」
「あ、いや。別にそんな強制で言った訳じゃないんだが」
「そう聞こえるわよっ!」
クージュはぷんぷんと怒る。
頭を掻くハロルドの右腕はだらんと下がっている。
ノックされる。
ムイフレスが入る許可を出すと、ワゴンに紅茶とお菓子を運んできた隊員が敬礼する。
隊員はテーブルに紅茶とお菓子を並べるとムイフレスに敬礼して出ていった。
ムイフレスが座ってくれと言い、ハロルドがソファーに座るとクージュは当たり前のようにハロルドの膝の上に座った。
トトトゥーナもムイフレスの膝の上に座ると、ムイフレスは嬉しそうにトトトゥーナの頬にキスをした。




