第117話
「まさか我にも番が見つかるとは、アンリローデ。いい名である」
「俺は複雑です。あのー、生まれてすぐ引き取りませんよね?」
「む」
「いやいや! いくら古代竜の番でも、生まれてすぐ渡せませんからね!?」
「我の番を引き取れぬであるか?」
「勘弁して下さいよ!」
「まあ、親の愛は必要か……必要か? 我がいるのに?」
「必要です! 隊長も何か言って下さいよ!」
泣くレオンがムイフレスに訴える。ムイフレスは眉を寄せつつ、シルディオスに言う。
「子は親の愛を求める生き物だ。それを番に与えないのか?」
「そういうものか。そういえば知り合いの古代竜の番も、親に愛されている子を見て、羨ましそうにしていたと言っていたである」
レオンはホッとする。
「知り合いは本を出していたである。我も本を出してみたいである」
「もしかして“竜と乙女”かい?」
まさか、と思いながらギットレイドか質問する。
「そうである」
「まさか本当に著者が古代竜とはねぇ」
「絵本にもなって読まれているである。我も本を出してみたいである」
「ボクいい案があるの。古代竜の生態について書くのはどうかなの」
「む。読まれるであるか?」
「“竜と乙女”の著者は古代竜なの。知っていることを書けば読まれること間違いなしなの」
「なれほどである。人気にあやかるのであるな?」
「名前を出すと本人の許可が必要になってくるから、名前は出さないの」
「なるほどである」
トトトゥーナはじぃっと見つめるソフィアに気がつく。
目線を向けると、ソフィアは目線を逸らしたが、トトトゥーナを見た。
「あの。その。色々と迷惑かけて、悪かったわね」
トトトゥーナは目を丸くし、ギットレイドも驚いた。
ソフィアはそれ以上何かを言うことはなかったが、ムイフレスに言い寄ることはなかった。
レオンはどこかホッとするのだった。




