第115話
「黒髪の君……目が覚めたんだねぇ。少し大きくなってないかい?」
ムイフレスはムッとする。
「返事をする前に開けるな」
「おっとごめんよぉ。で、我が儘嬢が見つかったんだけど、見つけた相手が我が儘嬢を番だと呼んでいるようなんだよ」
「レオンはお役目御免だな」
「簡単に言うねぇ。我が儘嬢にはレオンの子供が宿っているんだよ。一応公表はしてないみたいだけど」
「結婚式はどうなったの?」
「ほとんど終わっていたからねぇ。フレスは我が儘嬢を飛ばしたのは最後の最後だから。一応結婚式は終わった形だよ」
「見つけた人どんな人なの?」
「私は部外者だからねぇ。よく分からなかったんだけど、竜人族じゃないかと噂だよ」
「親戚になるんじゃないの?」
「まだ妹はキリーベル君と結婚していないから、私はまだ部外者なんだよ」
トトトゥーナは眉を下げる。
「この場合どうなるの?」
「レオンが引き下がるか、番が赤ん坊ごと受け入れるか、どっちしかないだろうねぇ」
「レオン。番に殺される可能性はないの?」
「あるねぇ」
「竜人族は番が幸せなら、手を引く」
ムイフレスが否定する。
「それは若い雄には無理じゃないか?」
「俺は年寄りじゃない」
「百年ぐらいの若い雄なら無理じゃないか?」
「二人は何歳なの? 神族は不老不死に近いから年齢の概念はないの」
「竜人族も長命種だから、一定の年齢になると祝わなくなるけど、ざっとした感じだと、フレスは五百二十八歳ぐらいで、私は三百二十五歳ぐらいかねぇ」
「竜人族って何歳で成人なの?」
「百歳で一人前だねぇ。だから百歳にならないと結婚は認められてないねぇ」
ノックされる。
ムイフレスは入る許可を出すと、隊員が入ってきた。
「失礼します」
副体長のギットレイドもいるのを見ると、二人に敬礼した。
「どうした?」
ギットレイドが声をかけると、隊員ははっ、と短く返事する。
「辺境伯家のご令嬢とレオン隊員が隊長に面会を求めています」
「ボク。レオンたちのことが気になるの」
ムイフレスはトトトゥーナの頬にキスをする。
「時間を取ろう」
隊員は敬礼し、出ていった。




