第112話
トトトゥーナは眉を寄せた。
「ポヌリス、なの?」
「久しぶりだな。トトトゥーナ」
しわがれた声だった。
シグレに短剣を向けている。
「シグレを離してなの」
「その前に力を返してくれ」
「忘れているようだけど、ポヌリスを半神にした力はボクの力なの。忘れちゃったの?」
「半神になった以上、それは俺の力だ」
ポヌリスはムイフレスに人差し指を向ける。
ムイフレスの肩に穴が開き、トトトゥーナは悲痛な顔でポヌリスを見る。
「やめてなの!」
顔を歪めるムイフレスを、トトトゥーナは見る。
「ムイ」
「俺には時間がないんだ。不老を失って、どんどん老けていく。さあ、力を返してくれ」
「今のボクに半神にする力はないの。邪神になって、強制的に眠らされて、今もほとんどの力が眠っている状態なの。今のボクの姿を見て分からないの?」
「なら目覚めさせるだけだ」
ムイフレスの腹に穴が開く。
血を吐くムイフレスにトトトゥーナは目を見開く。
身体中に穴が開く。
ムイフレスは膝をつき、血を吐く。それでもトトトゥーナを下ろそうとしない。
トトトゥーナは悲痛な顔をする。
「ムイフレス!」
「さあ目覚めたか? 目覚めないとその男が死ぬぞ」
「シグレを返してもらうよ」
ポヌリスの隣にロキフェルドが立っていた。
ハッとするポヌリスの腕を捥ぎシグレを抱き寄せた。
「俺の腕が!?」
腕をブラブラさせるロキフェルドは、それをバリバリと食べた。
ポヌリスは人差し指を向ける。
ロキフェルドは目をやると、人差し指がへし折れた。
ポヌリスは後ろに下がる。
ロキフェルドは指を鳴らす。
「何故飛べない!?」
ポヌリスの肩が抉れる。血が飛び散り、フードが後ろに下がり、しわくちゃな顔が露わになる。
「転移を阻害されたの初めて? それはおめでとう」
シグレはロキフェルドを見る。
「ロキフェルド様」
「なあに?」
「助けて頂いてありがとうございます」
「うん」
ポヌリスはロキフェルドから背中を向けて逃げ出そうとする。
ロキフェルドはポヌリスに目をやる。
「シグレに手を出すなんて、そんなの駄目だよ」
人差し指を向ける。
ポヌリスの頭が吹き飛んだ。
胴体が倒れる。
「エルアーノ! エルアーノ!!」
泣きながらトトトゥーナはエルアーノを呼ぶ。
聞こえたのか、エルアーノが店から出てくる。
ムイフレスの状態に気がついて、慌ててやってきた。
「どうしたんだ一体!?」
手をかざして魔方陣を構築する。
「ポヌリスがシグレを人質にやってきたの」
「何だって!?」
涙を流すトトトゥーナに、ムイフレスは手を伸ばして涙を拭う。
その様子を見ていたエルアーノは、大丈夫そうだな、と思うのだった。




