第10話
お腹が鳴った。
トトトゥーナは恥ずかしそうに顔を伏せる。
「報告はした」
立ち去ろうとするムイフレスにデュークは待ったをかける。
「全部じゃないだろう」
足を止めたムイフレスはトトトゥーナの額にちゅっと音を立てる。そしてエルアーノに顔を向けた。
「トトトゥーナを先に部屋へ送り届けろ。食事も忘れるな」
エルアーノ は頷き、ムイフレスだけを残して部屋から出ていった。
「竜化したのか?」
溜息をついたデュークが聞く。ムイフレスは翼を消す。
「部下しかいなかった」
「ならいいが。で、番とは何処でだ?」
「魔鳥に拐われていたのを助けた。その際に番だと分かった」
デュークは溜息をつく。
「今まで言ったことはなかったが、俺には相手の魔力が視える。だがお前の番の魔力は深い底に押し込まれているみたいだ」
「今まで言わなかったのなら言うな」
「底を見ようとしたが、深すぎて慌てて切った。お前の番は何者だ?」
「勝手に番の中を見ようとするな」
決まっている、とムイフレスはデュークに言う。
「俺の番だ。何者だろうと関係ない」
デュークはそうか、と答えるのだった。
番とは。
離れられない存在である。
そのために、番のための個室があり、そこで騎士団で働く隊員を待つのだ。
グレンアーグたちとは別れて、エルアーノに案内された個室で一人食事をするトトトゥーナはテーブルにスプーンを置いた。
首をひねるトトトゥーナにエルアーノはすぐに察知する。
「どうした? 口に合わなかったか?」
「ミルクが欲しいの」
「分かった。持ってこよう」
「ボクも! ボクも行くの!」
エルアーノは少し困ったが、頷くのだった。




