第9話
「ギットレイドは冒険者ギルドに行き、ギルドマスターにギムガントンの討伐の報告をしろ」
「ギムガントンの亡骸は?」
「異分子は騎士団が解剖し調べることになっているとでも言え。ギルドにギムガントンの亡骸を預けると、解体され戻ってこないからな」
苦い顔でムイフレスは言う。ギットレイドも苦い顔になる。
それをやらかしたレオンは何でもない顔をしているが、頭の上にある耳が伏せっている。
ギットレイドと別れて、ムイフレスたちは騎士団の駐屯地に向かうのだった。
ドアをノックする。
「入れ」
ムイフレスたちは総隊長の執務室に入る。
美しい顔をしているが、顔に似合わない目の下に隈ができていた。
「報告しろ」
「報告する。危険種と認定されたギムガントンは異分子であり、それを討伐した」
「そうか。よくやった。亡骸は?」
「亜空間の中に」
「そうか。後で調査団へ回せ」
総隊長は抱き抱えているトトトゥーナに目をやり、すぐにムイフレスに目線を戻した。
「番か?」
翼でトトトゥーナを隠すムイフレスに、総隊長は笑った。
「おめでとう。幸せだろう?」
「ああ。あなたの番も最近見つかったと聞いたが」
「私の番はまだ乳飲み子でな。夜中は三時間ごとに泣き出すんだ」
「今は母親が?」
「ああ。周りが母親は必要だと言うものでな。ムイフレス。ムイフレスの番に自己紹介してもよいか?」
渋々しく頷くムイフレスに、総隊長はトトトゥーナに笑いかけた。
「初めましてだなムイフレスの。私は異種混種族騎士団総隊長を務める、デューク・ジェローバだ」
「トトトゥーナなの」
「そうか。名前は呼ばないと思うが、覚えておこう」
さて、とデュークはムイフレスを見る。
「ムイフレス。お前はまだ番が見つかったと報告はしていない。報告をせずここまで連れてくるのは禁止されている。それと門は通れ。門番が騒いでいたぞ」
「竜人は番に関して自由が認められている。門に関して竜人だけではない」
「番と引き換えに我々は竜化することを禁止されている。沢山の禁止を受けての我々の見返りは、番を探せることだ。私も本来ならば入れなかっただろう、公爵家に入り母親と一緒に物置き部屋にいる番を見つけ出せた。本来ならばこの国に未練はないが、番の故郷だ。番に決めさせてやりたい」
竜化と聞いて、トトトゥーナはムイフレスを見上げて眉を下げる。ムイフレスはトトトゥーナの視線に気がつき、額にキスをする。
「竜化しちゃったら?」
デュークは眉を下げて心配そうな顔をするトトトゥーナに優しく笑う。
「大丈夫だ。ただ始末書を書くだけだから」
何でもないかのように言うのだった。




