第106話
「それにしてもアタシ、ママさんとパパさんに認めてもらえるかしら? 心配だわ。二人が認めても周りが認めてもらえるかどうか」
「大丈夫でありますよ。パーパーはマーマーに婿入りしたでありますし」
「あら、そうだったのね。でもよく王太子妃の護衛騎士予定だったに、パパさんの護衛騎士にできたわね」
「それはパーパーの番だったからであります」
キリーベルは目を丸くする。
「あら、そうなの?」
「でもマーマーは番だがらという理由で王太子妃の護衛騎士から外させられることを拒否したでありますが、そこをパーパーが番だからという理由で強引に掻っ拐って自分の護衛騎士にしたのであります。竜王陛下も最終的には認めたので、マーマーはパーパーの護衛騎士になったのであります」
「夫婦仲は大丈夫なのかしら?」
心配するキリーベルに、大丈夫だと答えたのは、ギットレイドだった。
「母は妖精竜で気は荒いが、夫婦仲は良好だ」
「“妖精竜”って妖精なの? 竜なの?」
トトトゥーナの質問にそれは、とギットレイドが答えようとして、その前にムイフレスが答えた。
「体格が小さい竜人族のことを、“妖精竜”と呼ぶんだ。見下されることが多い妖精竜の地位向上を目指して抜擢されたと聞いたが、それで流れたんだな。だがまあ、王族の番が妖精竜だから、妖精竜を大切にしようという意識改革はできたな」
ドアがノックされた。
ムイフレスが入る許可をだすと、レオンが入ってきた。
ギットレイドたちの中にキリーベルを見つけると、レオンは頭を軽く下げた。
「あの隊長。ロズが何処にもいないんですけど、知りませんか? 一緒に訓練しようと約束していたんですけど」
「ロズなら番の所にいる」
それを聞いて嬉しそうな顔をする。
「あいつ。番への接近禁止令が解かれたんですね。あいつ。番を怖がらせたことを後悔してたんですよね。いやーよかったよかった」
「番への接近禁止令は発動されたままだ」
「え? どういうことですか?」
「子猫の姿で番の所にいる」
「え? それって」
レオンは眉を下げ、ムイフレスは続ける。
「ロズが泣くもんでな。番に子猫を渡したら、“ロズ”と名付けた。ロズは幸せだろう。だからしばらくは欠勤だ」
「それで幸せなら、俺は何も言いませんよ」
少し呆れながら、レオンは答えるのだった。




