第104話
「どうだったんだ?」
執務室に戻ったトトトゥーナたちを、エルアーノが出迎えた。
「名前にロズって付けたの」
「それは……まあ、そうか」
シグレがポロポロと涙を流し、キリーベルとエリュシアに宥められている。
「シグレどうしたの?」
「ユーファレッシーノが無神経な発言をしてな」
「どんな?」
「ロキフェルドは番主義者なのかってな。要するに過去の女性関係を聞いたのさ」
トトトゥーナはドン引きし、シグレに声をかけた。
「知る限り付き合ってるの、見たことないの」
エリュシアがシグレの涙をハンカチで拭う。
「どうしてにーにーはそう無神経でありますか」
ギットレイドは縮こまる。
「だからにーにーには友人がいないのであります」
「いるよ! ねえフレス?」
「……」
「フレス!」
ギットレイドは泣いた。
「私たち友人だよね? ね? ねえ?」
「上司と部下だと思っていた」
「友人だと思っていたの私だけ!?」
「護衛騎士だった俺にとって、お前は護衛対象だ。それ以上でも以下でもない」
トトトゥーナは首をひねる。
「ギットレイドが護衛対象ってどういうことなの?」
「何だ知らなかったのか?」
「え? エルアーノは知っているの?」
「ああ。ユーファレッシーノは王族で、ベルベルトは筆頭護衛騎士隊長だったんだ」
「え!?」
すぐに反応したのはキリーベルだった。
「エリュシア。あなた王女様だったの!?」
「そうは言っても、竜王陛下の曽孫でありますので、王位継承権はないに等しいでありますよ」
キリーベルは頭を抱えた。
「王女様だったなんて。女装癖があるようなアタシなんて、相応しくないって言われるに違いないわ」
「ベルちゃん。エリュが王族だから嫌いになったでありますか?」
眉をさげるエリュシアに、キリーベルははっとする。
「ごめんなさいエリュシア。あなたに言った言葉は本物で、撤回するつもりはないわ」
トトトゥーナたちは黙って二人のやりとりを見守ったが、二人の間にいるシグレは居堪れなさそうである。
ムイフレスだけは興味がなさそうである。
「そういえば番殿。花売りが孤児院にきてな。販売許可証をもらったと伝えにきたんだ」
「あ。そういえば花を買うと言ったの」
「ああ。だから私が買った。言うの忘れていた」
トトトゥーナはムイフレスを見た。ムイフレスは額にキスをする。
「そうじゃないの。エルアーノが買ったお花の代金を払ってほしいの」
「それぐらい構わない。私もハーブティーだったか? 飲ませてくれ」
ムイフレスはトトトゥーナの顔中にキスをして、トトトゥーナは擽ったそうに笑うのだった。




