第102話
「ポヌリスは、ボクの元恋人、なの。人族の王族だったけど、ボクと生きることを選んでくれたの。だからボクは、ポヌリスを半神にしたの。だけどポヌリスは、ポヌリスは。人族の娘と浮気をしたの。相手の娘を妊娠させて。ボクは、だから、邪神になったの」
トトトゥーナはポロッと涙を流す。
ムイフレスは涙を指先で拭う。
「なるほど。ポヌリスとやらの力を回収したが、ポヌリスは取り上げられたと思い込んでいる、という訳だ。元々は番殿の力だと忘れて」
「ロキフェルドが連れてこない? そう思うのはアタシだけ?」
トトトゥーナたちは黙った。
「連れてこないかと思います」
シグレの発言にトトトゥーナたちは注目する。シグレは続ける。
「ロキフェルド様はお姉様のことが好きです。連れてきて嫌がるお姉様を、苦しむお姉様を見ようとはなさらないかと思います。そう。お姉様が好きなんです」
ポロポロと涙をこぼすシグレをキリーベルとエリュシアが宥める。
「シグレ。いつも側にいないで、離れてみることもいいのであります」
「そうね。離れてみて大切さが分かることもあるわ」
「番同士なのだから、それは酷というものじゃないか」
「エルアーノの言う通りだねぇ」
ドアがノックされた。
ムイフレスが入る許可を出すと、怖ず怖ずとロズが入ってきた。
ギットレイドたちを見て、耳が伏せる。
「今、大丈夫ですか?」
「気にするな。どうした?」
「はい。その。総隊長に番への接近禁止令の解除をお願いしてくれませんか?」
「まだ人に対して怯える傾向がある。今お前を会わせる訳にはいかない」
「そんな! そこを何とか! 何とかお願いします隊長!」
首を振るムイフレスに、ロズは泣き出した。
大の男が泣き出したことにムイフレスは興味なさそうだが、トトトゥーナたちは同情した。
「ムイ。何とかできないの?」
「考えよう」
トトトゥーナに言われてムイフレスはあっさりと意見を変えるのだった。




