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イニシエ  作者: 紡ぎ舞う者
第一章 学校編
17/38

17話 転換

アデルたちは順調に限界ラインまで到着し野営地を設置した。食事をしていた所、何処からか助けを呼ぶ声がしてリーアとアデルが向かう。

ダークウルフは拘束を解き、僕に向かって突っ込んでいった。

「ウソでだろ?!」僕は絡める指を人差し指と中指に変え、自身の左側に持ってきた。

「リーア避けろ!」射線上に居るリーアは何が来るかを察すると、高く横に跳ね上がった。

「手印法七、貫!」左手は動かさずに右手を向かって来るダークウルフに向けて払った。次の瞬間にはダークウルフに大きな穴が空いていた。

「アデル大丈夫?」リーアが駆け寄ってきた。

「平気だ、それより。」二人は破裂に近い惨状のダークウルフを見つめた。昼間戦った時奴らとは魔力量も体格もまるで違う。

「アデル、あなたさっきの束縛、手加減してないわよね?」急に失礼な事を言って来た。

「残念ながら手加減してないよ。」

「あなたの束縛はそんじょそこらの魔獣や群れの主にも通用するわ。それを解くなんてどれ程の強さだったのよ。」正直自分でも驚いている。まさか自分の拘束が破れるほどの魔獣が大会の標的として参加しているとは。

「とにかく野営地に戻りましょう。今後の対策を練るためにみんなにこの状況を共有しないと。」リーアはそういうと傷だらけの生徒のもとへ駆け寄る。

「立てる?」

「リーア様すいません。」

確かにこの場所は危険だ。避難するに越したことはない。

「分かった。」僕はダークウルフの前歯を抜き取り、リーアと傷だらけの生徒の後を追った。


 「戻ってきた!おーい!無事か」野営地に戻るとクロウが出迎えた。

「おい!そこの生徒、怪我してるじゃねぇか!大丈夫か!」

「大丈夫どころの話じゃないわシーラ!早くこっちに来て。」テントの裏からシーラが出てきて、口元を手で覆った。

「どうしたんですか、その傷。」

「ダークウルフにやられたんだ。」シーラは駆け寄ると治療を始め、更にトウヤとレオもテントの裏から出てきた。

「みんな無事?」トウヤが焦った様子で聞いてきた。

「僕とリーアは無事だよ。だけど、」襲われた生徒は見つけた時以上にオーラが弱っていた。

「アデル何があった?」トウヤは息を切らしながら聞いてきた。

「ダークウルフの主みたいなやつに会った。怪我してる生徒の族はそいつに襲われたみたいだ。とにかく、」と言いかけた時ロキが叫んだ。

「トウヤ!なんか獣臭い。多分周り囲まれてる。」

「今すぐ明かりを消して!」その言葉と同時に横に居たレオが水を生成し、焚き火を瞬時に消火した。

「シーラは治療を続けて、他のみんなは音を立てないように四方を警戒して。」トウヤも少し声量を抑えて号令を出した。一同はその場で武器を構え、動きを止める。次第に周囲から木や落ち葉の踏まれる音が増えていく。

僕は息を飲み込み魔獣の姿が現れるのを待つ。しかし、足音は急に消えたと思ったら次第に遠退いていった。

「全員警戒を解いていいぞ。」トウヤは危険なしと判断し、みんなも気を緩めた。

「相手は百匹以上仲間が居たはずなのに、どうして襲うのをやめたのだろう?」僕の疑問にトウヤは答える。

「その怪我をした生徒やアデルを襲ったダークウルフは主みたいじゃなくて、本当に主だったんじゃないかな?魔獣の主ってのは群れの中で一番強い個体がなるものでそれを殺された逆恨みはあれど、勝てない相手と悟ったんじゃないかな。」あれが主だったのなら沢山の群れを率いていてもおかしくはない。

「トウヤさん。」シーラが突然名前を呼ぶ。

「どうした?」トウヤがきくと、

「私のスキル転換が発動しています。」彼女は重くその言葉を放った。

転換。

人類はそのスキルを持つ人間を重宝している。起死回生とスキルの効果は同じで、神聖力の回復が、転換の場合は周囲の魔素、簡単に言えば相手のエネルギー源を吸収して回復するため戦場において最も優秀だと言えるスキルだ。これの発動条件は周囲が魔素に満たされている時に限る。

「つまり、今居る場所が魔素で満たされていてその場合。」

「魔獣の活性化が促される。」トウヤの説明にリーアが答えた。

「その通り。そこで過酷ではあるが、交代制で見張りを立てよう思う。翌日に響かないように1日二人で前後半で分けようと思うんだけど反対の人は居る?」誰も手が挙がらなかった。

「じゃあそれでいこう。早速ベルゼンと僕が見張りをするよ。しっかり休息をとること。襲撃があったらしっかり対応すること。それじゃあみんなおやすみ。灯りは消したままにするから気をつけて。」


そうしてみんなが眠りに就く中、トウヤは見張りをしながら空間探知を何度も試みていた。何十何百と進める中で二つの仮説が彼の頭の中によぎった。ひとつは空間探知が出来ないように統括局が抑制をしているか。二つ目は高濃度の魔素によって空間探知が妨害されているか。どちらにせよ使えないのなら別の方法で対策するしかない。一日目でこれだと残りの6日間一体何が待ち受けているのか少々不安になってきた。

いざとなればこれを。

開幕式の直前にセイゲルさんから渡されているペンダントをズボンのポケットから出す。

まだ危機には陥ってないが、これを使う時が来ないことを願うばかりだ。

17話読んでいただきありがとうございます。

是非コメントしていって下さい。

またX(旧Twitter)で投稿の告知をしています。フォローといいねよろしくお願いします。

次回は「襲撃者」お楽しみに


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