2020年4月21日 創造性とイノベーションの世界デー
20年4月21日
衣玖「終わりだ!!」
留音「どうした急に」
衣玖「もうだめよ……私はもう日めくり出来ない!」
真凛「何があったんですか?」
衣玖「何も無くなってしまったの!!ネタが!」
西香「今更ですわね。だましだましやってきたのでは?」
衣玖「今日は創造性とイノベーションの日!! 普通なら私が何かとんでもないことを作ればいいけどもうそんなネタ使い古して、私が創造性とイノベーションを発揮することになんの創造性とイノベーションも持てないというジレンマに陥ってしまったのよ!!」
留音「大変だなー」
衣玖「一体どうすればいい……? 誰か教えて、私が今日この日に創造性を発揮するには……革新ってなんなの……」
真凛「そんなに切羽詰まっちゃってぇ。そこまで重く考えることないんじゃないですかぁ?」
衣玖「バカを言うんじゃなぁい!!! 私達五人少女は常に創造と革新を持ってことに臨んでいる!! そして今日! それがそのまま記念日になってしまった!! 遂に来てしまったのよ!! 今日はまさに五人少女の日であると同時にアンチ五人少女の日と言っても過言ではない!!」
留音「ずっと前にも五人少女の日制定してなかったっけ?」
衣玖「一体どうすればいい……! 今日という日を記念日的に乗り切るには! なにか新しいことを……私が今までやったこと無いことを……!! ハッ!! バカになる!? IQ3くらいになるのはどう!?」
西香「あれは2月29日でしたか。設定が飛んだ日に相当おバカになっていましたわよ、衣玖さん」
衣玖「くっ……。そうだ、じゃあ悪役に……!」
真凛「いつだったか、もうなってたと思いますよぉ」
衣玖「ならば最悪、筋トレでもしようかしら!」
留音「おっ、やる? また強化外骨格とか言い出さない?」
衣玖「……そうだったわ。混乱してて何もかも後手後手に回っているわね……くっ。創造と革新に満ちたIQ3億の人間に対してこんな記念日をぶつけてくるとはね……どうしよう。何か答えを導き出さないと……何か私にとって新しいこと……何か無いの……?」
衣玖は頭を抱え、机に頭を押し付けて「うーうー」と唸っている。
留音「なんか大変そうだなぁ」
真凛「そうですねぇ。あっ、お茶これ……はい皆さん」
西香「あらどうも。……ん、香りがいつもと違いますか?」
真凛「わっ、西香さんが気づくくらいすごいんだ……そうです、これ川根茶っていうので……今日は川根茶の日なんですよぉ」
留音「かわねちゃー? 聞いたこと無いけど」
真凛「たしかにあんまり聞かないかもしれませんけど、日本の三大銘茶の一つだって商店街のおばちゃんに教えてもらったんですよぉ。さぁ衣玖さん、これでも飲んで落ち着いてください」
衣玖「うわーーーー!!! 思いつかない思いつかない思いつかない!!! おチュアーーー!!」
西香「ぶっ壊れてます。哀れですわね」
留音「……あ。今日ってゲームボーイの日らしいぞ。衣玖、その手の話するか?」
衣玖「そんなのもう腐るほどやったわよ! ゲームボーイ大好き! アドバンス!! イノベー!! 誰かいのってぇーー!! うあああああああああああ」
衣玖はとうとう横に転がり、バタバタとごねる子供のように床でのたうち回り始めた。
真凛「もう……うるさいですねぇ」
西香「見苦しいですわね」
衣玖「おっと真凛! 地球破壊エンドはNGよ! そんなの全然創造性とイノベーションを感じない!!! うあわあああああああああ」
バタバタバタ。衣玖ちゃん大暴れである。
留音「どうしたんだ衣玖、そんなに大暴れして……それほどまでに創造性とイノベーションの日を怖がる必要ないだろ。なんだったら別の記念日を取り扱えばいいじゃん」
衣玖「そんなの創造性とイノベーションに反する!! 私達記念日大使が創造性とイノベーションの日に創造性とイノベーションを発揮しないでどうするの!!! あぁもうわかってなああーーい!」
真凛「なんか本当に鬱陶しくなってきましたぁ」
衣玖「そうだ……今日は私達がミニーズに戦いを挑みに行く!? そうだわそうしま……つまんなーい! そんなのちょっといつもと逆にしただけで真の創造性とイノベーションには程遠い!!!ぎゃんぎゃんぎゃー!」
衣玖は床をゴロゴロ転がって部屋の壁までタッチ。そして次は反対側の壁までゴロゴロ転がっていき、そちら側をタッチしたら釣り上げられた魚のようにビタンビタンと身体で跳ねている。
西香「煽りじゃなくて、本当に可哀想になってきました。マッドサイエンティストというか、ただの狂気ですわ。誰か止めて差し上げて」
留音「もういいかげんにしろよ衣玖、十分悩んだよ。冷静沈着な衣玖を好きな人がそういうところを見たらがっかりするかもしれないぞ」
衣玖「……よし。じゃあそろそろいいわね。はい、創造性とイノベーションはクリアした」
真凛「どういうことですか……?」
衣玖「私が解決作を思いつかず苦悩するという一面は新しいでしょう。あんなに死ぬ前のゴキブリのようにのたうち回って悩むほどっていうのはね」
留音「まさかお前……」
西香「自分をゴキブリにたとえましたわよ、この人」
衣玖「そう。でもこれは記念日の完遂ではない。何故なら創造性にもイノベーションにも限界は無いから。私達は毎日進化している。だから一日の記念日で創造性とイノベーションは示すことは出来ないわ。私の、私達の最高傑作は常に次回作なのよ」
西香「かっこいいことを言っているつもりかもしれませんが、さっきのご自分の姿を見直したほうがよろしいですわよ。わたくししっかりムービー撮影しておきましたので」
衣玖「これこそが私達、五人少女。理解されないかもしれない。でも常に創造と革新を追い求めている……」
真凛「さっきの衣玖さんとは一緒にしないでほしいです☆」
留音「この数十秒の出来事の流れでよく決め顔でそんな事言い切れる精神をしてるなと、あたしは驚くばかりだよ」
創造とイノベーション。そこには多くの人に理解の及ばない孤独が付き纏う。しかしそれでも何かを追い求め、走る革命の美少女達。それこそが五人少女なのである。




