10年くらい前の出来事③
その後二人は、丘を後にして村への帰路についていた。初めての告白とキスを終え、心は幸せで満ち溢れていた。「今日は、記憶に残る日になったな。」「本当、その通りだわ~、ブロッサムと一緒にいれて幸せだね~。」そのような会話を、二人は交わしながら歩いている。
ふとブロッサムが前の方を見ると、四人組の男が二人とは反対方向に歩いているのが見えた。段々と男たちと距離が迫っている。その時は全然、ブロッサムたちは気にも留めず、通り過ぎようと思っていた。だが、それが叶わぬ事をすぐに知る事になる。
「おい、お前らちょっと待て。」男の一人から呼び止められた。ブロッサムが男たちを見ると、明らかに人相が悪くいかつい顔をしている。「連れの女がかわいいな。こっちによこせ。」もう一人の男がそう言い放つ。
ブロッサムは直感で「ここにいたらまずい」と思い、アリスの手を取って逃げようとする。だがその前に、男たちが立ちはだかった。とその刹那、男二人がアリスの腕を掴んで、ブロッサムから離す。
「きゃー、やめて!」アリスが声を枯らさんばかりに叫ぶ。それを聞いたブロッサムは、アリスの元に駆け寄ろうとする。だが、すぐさま男に行く手を阻まれた。アリスは男により地面へうつ伏せにされ、されるがままに犯されている。なおも悲鳴を上げ続けるが、ブロッサムはなす術が無かった。
「帝国の人間は、俺らキロヌカ人の言いなりになるしかないんだよ。」男の一人がせせら笑って口にする。ブロッサムは、男がキロヌカ人なのを知ったと同時に、激しい憤りを覚えた。「アリスに何てことしてくれたんだー!」男を突き飛ばそうとするが、逆に地面に体を叩き付けられ、その衝撃で気絶してしまった。
それからどれくらい経っただろうか。ブロッサムが我に返り、アリスを見ると息をしていない。「アリスー!」応答は無かった。アリスは命を落としたのだ。
ブロッサムの目から、涙がこぼれる。アリスを失った悲しみと、守れなかった後悔から。
ブロッサムは、改めてこの出来事を思い出し、キロヌカ人の手から帝国を取り戻さなければと決意を新たにした。




