10年くらい前の出来事①
あれは、今から10年くらい前のことである。その頃ブロッサムは、帝都ベルンハイムから南に遠く離れた、小さな村に住んでいた。村には、家が10数軒寄り添うように建ち並んでいて、きれいなせせらぎが流れていた。
ある日の事、ブロッサムは川のほとりに寝そべって、ぼうっと空を見上げていた。
「あいつはまだ来ないのかな?」、そんな独り言を呟く。どことなく、そわそわしている様子だ。それから、何分が経ったのだろうか。ブロッサムがいる右の方向から、肩の辺りまで伸びている茶髪で、若干小柄の少女が、小走りに駆け寄ってくるのが見えた。「お待たせー、ちょっと遅くなっちゃった・・・」少女は、申し訳無さそうに言う。
「もうーっ、アリス遅いじゃないか。」ブロッサムは笑みを浮かべながら、アリスと呼ばれた少女に声を掛ける。
「ごめんなさい、待たせちゃって・・・」
「いやいや、気に留める事はないよ。」ブロッサムは、そう言ってアリスをフォローする。
「じゃあ、出発しようか。」「うん、そうだね。あたしはブロッサムさんと一緒にいれて、とても嬉しいな。」「ははは、僕も同じだよ。」二人は、仲睦まじい様子で言葉を交わしながら、出発した。その日は、麗らかな日差しが差し込み、陽気もちょうど良く、出掛けるのにはうってつけだった。
二人は西の方向に歩みを進める。道は、ブロッサムたち以外には人通りがそれほどなく、静かな様子だ。周りには、原っぱが一面に広がっている。「周りの緑が美しいー!」「その通りだな!この辺りは僕が好きな場所だよ。小さい時、ここでアリスたちと遊んだのが懐かしいな。」「今でも覚えてるわ。あの頃は毎日原っぱで楽しく遊んだよね~」二人は、話に花を咲かせながら歩き続けた。




