司法局での抗議⑤
ブロッサムは、さらに言葉を続ける。「キロヌカ人の記念墓地での事件は、大変迷惑千万な行いだ。この事件は、記念墓地で眠りについている英霊に泥を塗るもので、帝国の臣民として物凄く許しがたい。司法局はキロヌカ人の犯罪について、厳しく対応する気はあるのか?」
そう問われた男は、3、40秒くらい沈黙を続けて、まるで時間が止まってしまったかと思うほどの静けさだった。男と対峙しているブロッサムたちには、随分長い時間に感じられた。
沈黙の後、男は開き直った態度で口を開く。「あなたたちは、「キロヌカ人の犯罪は言語道断」と言っているが、それは差別だろうよ。」
それに対して、ジョンが即座に反論する。「お言葉ですが、今のお考えは違うと思います。記念墓地でのキロヌカ人の犯罪は、誰がどう考えても、許される所業ではないはずです。」
「なぜだ?」男は、ジョンをにらみつけ、不愉快な様子で尋ねる。
「記念墓地は、過去の戦で命を捧げた、将兵の魂が眠る場所です。その神聖な場所で、爆発を起こした犯人を批判するのは、差別ではなく、正当な事だと思います。」
ジョンがそこまで言うと、男は鬼のような形相で、怒り狂ったようにテーブルを叩きつけた。
「この差別主義者め。あれやらこれやら横槍を入れやがって、お前らの事は一生忘れないからな。さもなくばここから出て行け!」
ブロッサムたちの間に、緊迫した空気が張り詰める。




