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光と影、二つの魂  作者: そら
第三章 鏡の前で
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第五話 セリア編 分析官の確信

セリアの手帳は今や三冊目に突入していた。


亡者の目撃情報。

枢機卿の行動記録。

両者の動きが重なる場所と時刻の一覧。

筆跡の比較メモ。


デスクの上に書類を広げランタンの光の下でセリアは整理を続けていた。


「亡者の行動記録とアルスの行動記録が同じ夜に王都の同じ区画で重なっている」


これは事実だ。

事実として三週間分の記録を比較した結果として出てきた。


偶然ではない。

一度や二度なら偶然で済む。

しかし十二回——十二回同じ夜に同じ区画に行動の痕跡がある。

しかも夜にノクスが動いた翌朝、アルスは必ずその区画の周辺に用件がある。

まるで——前夜の動きを知っているかのように。


知っている。

なぜなら——同一人物だからではないか。


セリアは手帳を閉じた。


確信に至る前にもう一つ確認したいことがある。


筆跡の件。

孤児院に届いた匿名封筒の字とアルスの字。

あの一瞬の目撃では確証がない。

正式な筆跡鑑定が必要だ。

しかしそれにはアルスの筆跡の証拠資料が必要で——


正面からアルスに依頼することはできない。


ではどうするか。


セリアはしばらく考えた。


「……直接問いただすより、もう一段、証拠を積む」


独り言だった。


調査官として証拠は鎖だ。

一つが欠けても崩れる。

今持っているものはそれぞれは弱い。

しかし鎖として繋げれば——崩れない。


もう一段だけ時間をくれ。


そう心の中で言った。

誰に言ったのかは、自分でも分からなかった。


手帳を開き新しいページに書いた。


「確認事項①——右手首の傷。アルス様は毎朝右手首を回復魔法で治しているとライト補佐官が証言(間接)。亡者も右手首に傷をつけているとの目撃証言(裏社会の情報源)」


「確認事項②——行動の一致。同夜、同区画での活動痕跡が十二回確認。偶然の域を超えている」


「確認事項③——筆跡。要正式鑑定。現時点では推定のみ」


「確認事項④——速度。廊下での暗殺者迎撃時の速度は、6段階の回復魔法師には説明不能」


セリアは書き終えてページを見つめた。


七割——と心の中で数えた。

確信の七割。


残りの三割が埋まる時が来る。

その時自分はどうするか。


問いただすか。

それとも——協力を求めるか。


セリアにはまだ答えが出ていなかった。


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