↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
毛玉幻獣グリ子さん  作者: ふーろう/風楼
第三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
315/325

原因



 帰宅の準備をし、いざ帰ろうという所でブキャナンがやってくる。


 着替えたのかスーツ姿、なんとも胡散臭い笑顔を浮かべての姿にハクトがどう声をかけたものかと悩んでいると、グリ子さんが声を上げる。


「クッキュン!」


 その声を聞いてハクトとブキャナンが硬直する。


 言葉の意味が分からなかったユウカだけが首を傾げ……それを見てなのか、ハクトが軽く目元を抑えながら口を開く。


「グリ子さんが言うには、今回の件にはかなりの怨念が関わっているようだ。

 ……けども、それは完全な八つ当たりらしい。

 理不尽で筋違い、だからこそ止めるのが大変かもしれないと、そういうことらしい」


「ああ、もう黒幕までたどり着いちゃってるんですね。

 ……えっと、そうだとしてどうするんですか? 八つ当たりだとして、だからこそさっさと止めないと大変だと思うんですけど……。

 被害がどんどん広がっちゃいそうですし」


 ユウカにそう返されてハクトは、頷いてから言葉を返す。


「そうだね、その通りだ。

 ……しかし八つ当たりということは、そうしたくなるという理由があるということでもある。

 ここまでのことをやらかす『理由』だ、関わるなら覚悟をしたほうが良いだろうね」


「全然良いですよ、理由がどうであれぶっ飛ばしたら良いんですから、簡単な話ですよ」


 ユウカがそう返し、ハクトはまた頷き……それを受けてブキャナンもまた頷き、声を上げる。


「さすがでございやすな。

 確かにもう起きてしまっていること、今からどうこう言った所でしょうがない話でございやすからねぇ。

 ……えっと、グリ子さん? 黒幕がどこにいるか探れやすかい?」


 そう言われてグリ子さんは笑顔で頷き、楽しそうにチャッチャッと爪を鳴らしながら歩いていく。


 そうしながらクチバシで羽毛を毟り、空中にばらまき……それらが風に乗って飛んでいく。


 そうすることで何かを調べているのか、調べるための準備なのか……それを何度か繰り返した後、何かを見つけたらしいグリ子さんがどこかをクチバシで指し示す。


「……なるほど、あちらに何かあるのか。

 しかしすぐに駆けていかないということは遠方なのか。

 ……大僧正、いけますか?」


 と、ハクト。


「お任せくださいまし」


 と、ブキャナン。

 

 それからすぐにブキャナンはスーツの背から翼を突き出し、それを振るって羽根を飛ばし、その羽根を小僧天狗に変化させて、グリ子さんが指し示す方角へと飛ばしていく。


 最初はすまし顔で、しかし途中から真顔となり……少しだけ焦ったような顔になる。


 そこからしばらくは沈黙……10分か、20分か、それくらいの時間が過ぎてからブキャナンは重々しく口を開く。


「風切さんは現場には来ない方が良いでしょうなぁ。

 アタクシとハクトさんで解決いたしやしょう。

 幸いにして相手は雑魚……力は必要ありやせん」


「分かりました、そのように。

 ……風切君、申し訳ないが先に帰宅してくれたまえ。

 後は俺と大僧正で解決しよう」


 すぐさまハクトはそう返す、グリ子さんはいつでも走れるようにと構え、フォスはそれを見てグリ子さんの背に飛び乗り、鈎爪でしっかりと背中を掴む。


「……先輩、私もいけますよ? この仕事続けていくなら、そういう現場も行く必要あるんですよね?」


 しかしユウカはその言葉を受け入れず、しっかりと力強い視線と共に言葉を返す。


「……まぁ、確かに、それも大事な意見なんだろう。

 しかしそのことをよく分かっている大僧正がわざわざあそこまで言ったんだ、相応の理由があるはずだ。

 だからその覚悟があるのならばついてきても良いが……あまり推奨はしないな。

 どうしてもならせめてまず何が待っているのか話を聞いて、心の準備をしておくべきだろう」


 それにハクトが返し……ユウカは真剣に悩んだ上で、それでもと顔を前に向ける。


 するとどこかに意識を向けていたブキャナンが、小さなため息の後に口を開く。


「今回の騒動はどうも、悪意を持って呪いを振りまこうとしている人物がいるようです……が、ただそれだけならここまでの騒ぎにはならねぇんです。

 この感じ前々から準備をしていたようで、おそらく蠱毒のようなことを繰り返していたのでしょう。

 そしてその一つをグリ子さんのおかげで発見しやした。

 ……ただそれが、毒虫ではなく人で行われていた形跡がありやす。

 それも……子供を利用していたようで……。

 不幸にして死んだ子供の魂を利用していたのではないかと……」


 それは消え入りそうな声だった。


 子供好きのブキャナンだからこそ、子供を思ってのことだったのだろう。

 

 そしてまたユウカも子供好きであり、ユウカはブキャナンのように悲しむのではなく、怒りに燃えて拳を強く握り込む。


 それを見てまぁ、そうなるよなぁと頭をかいたハクトはグリ子さんの方を見て、グリ子さんが、


「クッキュン!」


 と、鳴いたのを受けて、その内容を言葉にする。


「グリ子さんなら子供達の魂を浄化出来るそうだから、あまり熱くならないように。

 その怒りは正当だとしても、仕事に持ち込むべきではないからね。

 ……そうやって冷静さを失ってしまうことも相手の狙いのうちだろうから、とにかく冷静に。

 その上で一緒に行きたいのならば一緒に来ると良いよ」


 グリ子さんが「クキュン!」とそれに続き、ブキャナンもその覚悟ならと頷く。


 それを受けてユウカとフェーは同時に構えた拳を突き出し、その気合を示してみせる。


 そうしてハクト達は小僧天狗が示した先へと進んでいくことになる。


 町内を過ぎて隣町に入り、ビル街を抜けて古い街並みへ。


 木造建築と蔵が並ぶその通りは、歴史を感じさせる街並みとなっていて……そこを過ぎていくとやがて目の前に大きな屋敷が姿を現す。


 本当に何年前の家なのか、古民家と呼ぶに相応しい佇まいのそこからは、今までに感じたことのない怖気が流れでてい、呪い程度ではそんな怖気は発せられないはずだとハクトとブキャナンは警戒感を顕にする。


 ユウカはそれを感じ取れなかったが、2人の様子がおかしいことには気付いていて……そうして一同はちょっとした寒気を感じながらその屋敷へと足を進めるのだった。


お読みいただきありがとうございました。


納涼ホラーちっくで始めたのですが、涼しくなる前に終われるかドキドキです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。