↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
毛玉幻獣グリ子さん  作者: ふーろう/風楼
第三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
307/325

ピザ作り



 グリ子さんがピザ作りをすると決まって、ハクトは一応協力することに決めた。


 不安な気持ちがありながらも、どんなピザが出来上がるのかという興味もあり、ピザ生地のための材料、チーズ、トマトソースなどなど、調理に必要な道具も一通りに揃えた。


 しかし具の準備となると何故かグリ子さんが消極的……と、言うかハクトには任せられないという態度で揃えることは出来なかった。


 結局軽く商店街を巡るだけで買い物は終わり、自宅に帰宅したなら早速調理開始となる。


 リビングテーブルに調理シートを敷いて、強力粉、薄力粉、水、ドライイースト、塩、砂糖、オリーブオイル、ピザ生地の基本となる材料を揃えたハクトが、早速生地を練り上げるための準備をしていると、グリ子さんから声が上がる。


「クッキュン!」


 後は自分に任せておけと、そう言われたハクトはここからどうするのかと疑問に思いながらも頷いて下がり、ソファに腰を下ろす。


 逆にユウカは立ち上がって興味津々、グリ子さんの側に立ってどうするかを見守る姿勢で、そしてグリ子さんはピザ生地の材料の置かれたテーブルを前にして、目を閉じて魔力を練り込み始める。


「うん? 魔力??」


 と、ハクトが疑問を口にしたのにも構わずグリ子さんは、魔力を球体のように固めていって……そして必要な材料をその中に取り込み始める。


 取り込んだなら魔力の球体が回転を始めて、ある程度回転したなら、縦横に揺れて魔力の中で生地をバウンドさせ始める。


「……な、なるほど、魔力の生地練り機、か。

 挙動としては餅つき機に近そうだが……まぁ、確かにこれならピザ生地にはなるか」


 と、ハクト。


「おぉ~~~、凄く便利で良いですね! これなら道具とかも汚れないし……えっと、練った後はどうするんですか?」


 と、ユウカ。


「よく混ぜたら丸めて寝かせる、そうして生地が発酵したら潰して広げて生地として具材を乗せていく。

 後は焼けば良いだけだから……これからはしばらく寝かせて発酵かな」


 更にハクトが説明を続ける中、練られた生地が丸められていって……今度は魔力が赤く染まって、中で何かが起き始める。


「……まさか発酵促進まで魔力で? そんなことが可能とはなぁ……」


「えーっと……発酵は菌が行ってる訳で、その際に出るガスが生地を膨らませるんですよね。

 温度を上げて菌の活動を活発化……だけじゃなくて、菌そのものに魔力で何かしてるんですかね?」


 ハクトの言葉にユウカが返し、それを受けてハクトが言葉を続ける。


「……かもしれないな。

 菌自体はそこまで複雑な生物ではないから、可能と言えば可能だが……あの魔力の中の空間だからこその作用かもしれないね。

 そしてこうして話している間にも生地が膨らんでいるね。

 ……俺達でもやろうと思えば可能ではあるが、魔力をこんな使い方するというのは考えもしなかったなぁ」


「まぁ、普通に寝かせたら良い訳ですからね……凄いなぁ」


「ふーむ……生地が簡単に出来るのは良いとして具はどうするんだろうな? 今日は肉屋で良いベーコンが売っていて買い時だったんだけどなぁ」


「手作りベーコン、定期的に作って売ってくれるんですよねぇ、あのお店」


 と、そんな会話をしているうちに発酵が終わったようで、生地が引き伸ばされていく。


 後は具を乗せてオーブンに入れるだけだが、具はどうするのか、チーズとトマトトースだけで作るのかと、ハクト達があれこれ考えていると、魔力の中に小さな扉が現れる。


「ん!?」


「え!?」


 と、ハクト達が声を上げる中、パカッと扉が開き、そこからニュッと顔が出てくる。


 グリフォンの、伝承にある通りの、凛々しく長いグリフォンらしい顔がニュッと出てくる。


 そのクチバシには肉塊が咥えられていて、届け物かのように魔力の中に置かれて……その後も見たこともない野菜や木の実がグリフォン達のクチバシによって運ばれてくる。


「……全部違う個体だな、毛並みや目つきが微妙に違う」


「よくそんなとこ見てますね」


 ハクト達はもうただただ会話しているしかない、呆然と見やりながら言葉をかわしていく。


「グリ子さんの一族というか眷属というか、とにかくそういった個体による献上という所だろうな」


「えっと、つまりあれは異世界の肉や野菜ですか?

 ……た、食べても平気なんですか?」


「平気だろう、グリ子さんがわざわざ危険なものを持ってくるはずがないし、恐らくだがあの魔力の球体の中で、滅菌処理などが行われている。

 つまりは一種の検疫室のような役割も担っているのだろう。

 それと普段俺達が食べている野菜の中には、異世界生まれの物も多いからね、そこら辺は今更でもあるんだ。

 古代の頃には当たり前に異世界とこちらが入り混じっていたことを忘れないように。

 具体的には菜の花、狭霧芋、源氏ネギなんかは異世界の食べ物だ。

 もうすっかりと定着して当たり前の食材になっているけどね……俺達が魔力を持っているのは、こういった食物を当たり前に摂取しているからという説もあるね」


「え、あ、そうだったんですか? なんか当たり前過ぎるし名前もそれっぽくないんで全然わかんなかったです。

 そっかぁ……え、じゃぁあのピザも食べたら魔力が上がったりするんですか?」


「さて……肉や野菜を切りわけて、トマトソースを塗って生地の上に乗せたらチーズをふりかけて。

 作り方としては至って普通のピザで、量もそこまでじゃない。

 あれならそこまでの影響はないと思うが……問題は肉だね、アレが何の肉なのかにもよるかな」


「あー……えっと、具体的にどんな肉ならどんな影響があるんですか?」


「伝承を真に受けるのなら、人魚なら不老不死、ドラゴンの肉なら強靭な体、他にも空を飛べるとか、好きなものに変化出来るようになるとか、様々だね。

 現実的に言うと、魔力の上昇量に差があるだけだろうと思う。

 その後の結果は、増えた魔力によって発現した魔法、または能力によるものなんだろう」


「あー……なるほど、魔力がすっごく増えたからそれだけの結果を得られたと。

 えっと……じゃぁ今から食べるピザは場合によってはそうなるってことですね」


「まぁ、うん、グリフォンに倒せる範囲の動物、魔獣の肉だろうから、そこまで無茶な結果にはならないはずだよ」


 そんな会話をしているうちにピザの調理はほぼ完了となり、ハクトはオーブンの用意をするかと台所に向かおうとするが、グリ子さんが声を上げて制止する。


「クッキュンキュン!」


「え? このまま焼ける? ま、まぁそれはそうか」


 なんて言っている間にも魔力の球体の中の生地が焼き上がっていって……それを受けてハクトは、食器を用意するかと改めて台所へと足を向けるのだった。


お読みいただきありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
美味しそう! 私もお呼ばれしたいな(^_^)
どう調理するのかと、必死にコネコネして麺棒で延ばしてとか、それはそれで可愛いけども、まぁ、普通に調理しないだろうなぁとは思ってたけど いや、便利すぎるだろ、魔力
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。