2024/10/30(水曜日)
「おはよ伊都」とつぶやく朝が新しい今日を連れてきて、「おやすみ伊都」とつぶやく夜がまだ知らない明日を迎えに行く。
「ねぇ伊都、明日で十月も終わりだよ」
夜はもうすっかり冬に染まっていて、時折布団の隙間から入り込んでくる冷たい空気が、背筋をぶるりと震わせる。そのたびに、布団をきゅっと抱き寄せて身体を丸める。
いつか伊都が応じてくれると信じて、朝と夜のあいさつを続けてきた。ひとりで通学するとき、ひとりで湯船に浸かっているとき、一日の中で何度も伊都に話しかけてきた。だけど、ついに伊都が返事をすることはなかった。
激動の一週間だった。
お母さんがあの頃に戻って、里奈ちゃんと友だちになって。
立て続けに良いことが起きているけど、だからこそわたしはこわくなる。
もしかしたらこの幸せは、この先で待つ不幸との帳尻合わせなんじゃないかって。
「明日はなにを話そうね」
白々しく明るく言ってみる。
大丈夫、きっと明日は伊都に逢える。実はもうとっくに伊都がいなくなっている、なんてことはないはずだ。……そうだよね伊都?
不安を誤魔化すように、わたしはより強く布団の温もりを求める。今日の夜は、いつも以上に冷え込んでいる。
まるでせっかちな十一月が一足早くやってきたみたいに。




