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君のいない金曜日  作者: 風戸輝斗
「Friday without -Ito Kitahara-」

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2024/10/28(月曜日)

「おはよ伊都」


 起きてすぐの「おはよう」と寝る前の「おやすみ」はここ最近の日課だ。

 これまでは伊都だけにしかすることのなかった親密さを内包したあいさつだけど、


「おはよお母さん」

「おはようほどく。じゃじゃん! お母さん、今日からお弁当に冷凍食品を入れることを禁止することにしました!」

「うわぁおいしそう。けどこんなにつくるの大変なんじゃない?」

「大丈夫。いつもより二時間早く起きただけだけだから」

「ぜんぜん大丈夫じゃないじゃん……」


 明日からは無理せず冷凍食品に頼るように言うと、「ほどくはほんといい娘ね~」と頭をよしよしされた。恥ずかしいけど心地良くて、わたしはしばらくよしよしに浸った。

 お母さんと向かい合って座り、「いただきます」と合掌する。


「あのさお母さん、今日から金曜日まで塾を休んで文化祭の準備に専念したいの。いい?」

「うん、いいよ。講師の先生に連絡しておくわね。……塾、嫌なら辞めてもいいけどどうする?」


 さすがお母さんだと思う。娘の考えていることは手に取るようにわかるようだ。


「日程を変えて週に二日通いたいな。いい?」

「うん、いいよ」


 ということで、まだ未確定だけど、わたしの週四日の塾は週二日に削減された。

 塾を辞めた途端に学力がズドーンって落ちて希望している大学に落ちたら困るので、週に二日だけは平日を犠牲にすることにする。まぁ今の第一志望校は、お父さんに選択を強制されて選んだ大学なんだけどね。


 制服に身を包み、とんとんローファーの爪先を鳴らして「行ってきます」といえば、お母さんが「いってらっしゃい」と笑顔で手を振って見送ってくれる。

 扉を開けば、冬の兆しを孕んだ冷たい風と白いうろこをつけた青空がわたしを歓迎する。

 すぅ~と息を吸い込むと、朝の澄んだ空気が胸いっぱいに満ちていい気分になる。


 代り映えのない通学路が、なんだか今日は色づいているように感じた。

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