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SNOW WHITE PRELUDE -白雪姫の輪舞-  作者: 二ノ宮純
第11章 「世界が動き出し、輪舞がはじまる」
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第11章 「世界が動き出し、輪舞がはじまる」第2話

夕暮れの光が、百合々咲音楽学院の廊下を柔らかく染めていた。


2階の吹き抜けの手すりに身を預け、5人の女性たちが静かに下の光景を見つめていた。


——かつて“伝説”と呼ばれた者たち。

過ぎ去りし流星たち。


白熱したレッスンの喧騒が、

下の階から突き上げるように響いてくる。


「いや〜、流石にあれは厳しい練習だね」


ひなたが口笛混じりに呟いた。


その声は軽やかだったが、瞳の奥には懐かしさと、少しの感慨が浮かんでいた。


「ロゼ・アディン。容赦がないね」


凛は淡々と、それでいてどこか嬉しそうに言った。


火の君らしい、熱を秘めた視線がレッスン室に注がれている。


「妹蘭さんのところは、あんな感じ?」


ひなたが問いかけると、妹蘭は小さく笑った。


「大帝都歌劇団も厳しいけど……あそこまでじゃないです。アンダルシアは、そのさらに上の世界ですからね」


その言葉に、皆が少し肩をすくめた。


かつて頂点に立った者たちでさえ、

その厳しさを肌で感じ取っていた。


「……でも」


李梨奈が、ぼんやりと下のレッスン室を見つめながら呟いた。


「翼……戻ってきたんだね」


その言葉には、深い感慨と、

わずかな祈りが混じっていた。


金色の長い髪が夕陽に照らされ、

静かに輝いている。


その瞬間——通路の奥から、

やわらかな足音が近づいてくる。


「おや、OG訪問ですか?」


優雅に歩いてくる女性の声。



——百合々咲音楽学院理事長、ミリー・マーキス。




「理事長」


5人は一斉に姿勢を正した。


「お久しぶりですね、流星の皆さん」


ミリーは微笑みながら通路の手すりに視線を落とし、 練習中の舞台を静かに見下ろした。


「あなたたちが残したのは、呪いや壁だけではありません」


その声は柔らかく、しかし芯のある響きで通路に広がった。


「あそこにいる生徒の多くは、あなたたちに憧れてこの学院に来た者たちです。 あなたたちの“SNOW WHITE”は、未完だったとしても——確かに“道しるべ”だったのです」


李梨奈の瞳に、ほんの少しだけ潤みがさした。


「……でも、あの子たちは」


ひなたが呟く。


「私たちの“その先”に行こうとしてる」


凛が続けた。


ミリーは静かに頷いた。


「そう。だからこそ、あなたたちも“見届けて”あげてください。 彼女たちがどんな“白雪姫”を描くのかを——」


通路に一瞬だけ、風が吹き抜けた。

遠く、大レッスン室の照明がきらめき、

若者たちの熱気が、静かに上がってくる。


5人の元エーデルたちは、

それぞれの想いを胸に、

下の舞台を見つめ続けていた。


かつての輝きを越えようとする者たちと、

その輝きを残した者たち。


2つの時代が、静かに交差する瞬間だった。







これは、トップスタァを目指す少女たちの物語。

そして……









夢を叶える物語である。


第2話 完

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