表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SNOW WHITE PRELUDE -白雪姫の輪舞-  作者: 二ノ宮純
第6章「水の様に澄んだ心で」
PR
43/73

第6章 「水の様に澄んだ心で」 第2話

日本の大帝都劇場で上演される舞台の話が、

哪吒の耳に届いた。


あの劇場こそ、

自身が求めるものがある場所だった。


哪吒はオーディションに参加するため、

日本へ向かった。


主演の役は異国の騎士。


アクションが多めの舞台であるが、

哪吒は中国武術の天才だった。


アクションは得意中の得意であった。


数週間に及ぶオーディションは、

想像を絶する厳しさだった。


名のある劇団の役者たちが、次々と落ちていく。


それでも哪吒は残り続けた。


残り2人の最終審査に進めた哪吒。


もう1人は、日本で最年少女優賞をとったとされる少女であった。


「私が負けるはずがない」


哪吒は心に刃を宿し、最終審査に挑んだ。


しかし、哪吒の刃は簡単に折られた。


「主演はマリナ・ゴールドエーカー。君だ」


演出家の無情な声が響く。


哪吒は膝から崩れ落ちた。


(負けた……? 私が……?)


目の前が真っ白になった。


隣に立っていたもう1人の参加者を見上げることしかできなかった。


その参加者は、スポットライトに照らされ、

少女の長い金髪と相まって黄金色に輝いて見えた。


完璧な美しさと、圧倒的な存在感。

まるで光そのものが形を成したような少女。


哪吒は、初めて自分の「強さ」が通用しない世界を目の当たりにした。


大帝都劇場の舞台は、彼女が追い求めてきた完璧ささえも、

容易く超えていく輝きを持っていた。


その瞬間、哪吒の胸に、

幼い頃に観た『SNOW WHITE』の記憶が、

鮮やかに蘇った。


あの煌びやかな光。


自分はまだ、あの光に届いていない。


膝をついた哪吒の瞳に、

静かな、しかし燃えるような闘志が灯った。


「私は……もっと強くなる」


負けたその日から、

哪吒の戦いは、新たな段階へと移ろうとしていた。



中国では、これ以上の高みに行くことはできない。


そう思った哪吒は、留学することを決めた。


「父上、私、留学します」


母親はそのまま故郷の高校へ進学するものだと思っていた。


しかし、父は違った。


「哪吒、何故留学をしたいんだ?」


「強くあるため。より高みに」


哪吒は父の目をまっすぐ見つめていた。

父も、哪吒の目を逸らさず、まっすぐに見返した。


「いいだろう。だが哪吒、やるからには本気でやれ」


「はい、父上」


哪吒の留学先は、

アメリカでもロンドンでもなかった。



黄金の輝きがいた日本だった。



日本にある演劇の名門校は二校あったが、

哪吒が目指すのは、幼き日に見た煌びやかな舞台。


その舞台へ行ける場所——『百合々咲音楽学院』へ留学を決めたのであった。


幼い頃に大帝都劇場で観た『SNOW WHITE』の記憶は、

今も哪吒の胸の奥で燃え続けていた。


観る者の心を揺さぶる圧倒的な輝き。


あの光を、自分のものにしたい。


中国の劇団で名を上げ、頂点を極めても、

哪吒の心は満たされなかった。


もっと高い場所へ。


もっと強い自分へ。


父の許しを得た哪吒は、静かに準備を始めた。


留学先を百合々咲に決めた理由は、ただ一つ。


「あの舞台に立ちたい」


幼い日の記憶の中で輝いていた大帝都劇場の光。


その光の源である百合々咲音楽学院こそが、

自分をさらに強くしてくれる場所だと、

哪吒は信じていた。


中国を離れる日、

父は静かに哪吒の肩に手を置いた。


「哪吒、強くなれ」


「はい、父上」


哪吒の瞳には、静かな決意が宿っていた。


彼女は強くあろうとした。


完璧であろうとした。


そして、いつかあの煌びやかな舞台で、

自分自身の光を放ちたいと願っていた。


飛行機が日本へと飛び立つ瞬間、

哪吒は窓の外に広がる故郷の空を見つめ、

心の中で静かに誓った。


「私は、頂点に立つ」





これは、トップスタァを目指す少女たちの物語。

そして……






夢を叶える物語である。


第2話 完


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ