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SNOW WHITE PRELUDE -白雪姫の輪舞-  作者: 二ノ宮純
第5章「自由への風は再び吹く」
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第5章 「自由への風は再び吹く」 第3話

ビルの鏡に向かって、

二乃は1人でダンスを踊っていた。


眼差しは真剣そのものだった。


ダンスを踊るとき、

二乃は勉強ができないおバカではなかった。


軽やかなステップ、洗練された指先の動き、息遣いのひとつひとつまでが、磨き抜かれた美しさを持っている。


この時間が、二乃はとてつもなく好きだった。


音楽を止め、壁にもたれかかるように座り込む。


頭の中には「受験」の文字がぐるぐると回っていた。


「考えたくない〜」


二乃は小さく叫んだ。


「百合々咲に一緒に行こう」


翼の声が、ずっと耳に残っている。


(私が百合々咲に行っていいのかな……)


鞄からスマホを取り出し、

百合々咲音楽学院のホームページへアクセスする。


歴代卒業生の欄。


そこには、第93代目エーデルが、当時の顔写真付きで載っていた。


翼と一緒に観に行った舞台の主演の人たち。


この人たちみたいになれるかな。


この人たちみたいに踊れるかな。


1人の生徒の名前に、ふと目が止まった。


「二柳ひなた」


現・ダンスチーム『ARIES』所属。


ARIESは日本に拠点を置くプロのダンスチームであり、海外でも活動しているトップグループだった。


二乃が目標としているダンスチーム。

いつかARIESに入りたいと、密かに思ったこともあった。


ARIESは日本のトップが集まる場所。

入るには、それ相応のレベルと実績が必要だ。


百合々咲に行けば、

トップレベルのダンス技術が学べるかもしれない。


もっと高みへ行けるかもしれない。


「必ずSNOW WHITEやるんだから!」


翼は夢に向かって、常にまっすぐに進んでいる。


私も進んでみたい。

私もARIESに入りたい……。


「私も、夢を掴みたい」


二乃はスマホの画面を見つめたまま、

静かに呟いた。


鏡に映る自分の姿が、少しだけ、

背筋を伸ばしたように見えた。


夕方のビルの片隅で、

二乃の心に、ようやく小さな風が吹き始めた。




これは、トップスタァを目指す少女たちの物語。

そして……





夢を叶える物語である。


第3話

 完

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