表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SNOW WHITE PRELUDE -白雪姫の輪舞-  作者: 二ノ宮純
第5章「自由への風は再び吹く」
PR
37/73

第5章 「自由への風は再び吹く」 第1話

「ただいま……」


返してくれる返事はない。


二乃の両親は共働きのため、

夜遅く帰ってくることが多い。 


いつもなら舞台の練習やダンス練で二乃自身も遅く帰っていたが、今はどれも手に付かなくなっていた。


自室に入ると、制服のままベッドに倒れ込んだ。


身体が重い。


心が重い。


自分は一体何をしているんだろう……。


分からなかった。


ふと、棚に飾られた賞状やトロフィー、 

そしてメダルが目に入った。


かつて数多くのダンスコンテストで優勝してきた証。


それは二乃にとって、紛れもない誇りであった。


あの頃は、自分はただ踊るのが好きだった。

何も考えずに音楽に合わせて身体を動かすのが、 大好きだった。


昔、美少女アニメ『戦姫シリーズ』のエンディングダンスを踊った動画がテレビで採用され、

エンディング映像に使われたこともあった。


そこには、今の重荷も何もない。

ただダンスを楽しむ、純粋な女の子の姿があった。


二乃はベッドに横たわったまま、

棚のトロフィーをぼんやりと見つめた。


輝く金色の表面に、

幼い頃の自分の笑顔が映っている気がした。


あの頃の自分は、ただ踊ることが嬉しかった。

「フラウ・ヴィンド」という称号も、

エーデルという責任も、まだ知らなかった。


今は違う。


「エーデルだから」「学院の顔だから」「誰かの手本にならなくちゃ」——


そんな言葉が、いつも頭の中でぐるぐると回っている。


二乃はゆっくりと目を閉じた。


胸の奥が、じんわりと痛む。


翼の苦しみ。

哪吒の冷たい言葉。

そして、自分が抱えている「風の君」という名の重さ。


すべてが、今の二乃を押しつぶそうとしていた。


部屋の明かりをつけず、

制服のままベッドに横たわる少女の姿は、

まるで風を失った風見鶏のように、

静かに佇んでいた。


外では、夜の風が窓を優しく叩いている。


しかし、二乃の心の中の風は、

今、どこへ向かえばいいのか、

分からなくなっていた。





これは、トップスタァを目指す少女たちの物語。

そして……





夢を叶える物語である。


第1話 完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ