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日常系ネガティブワールド  作者: 神楽坂かぐら
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第六十五話 歩き出したら止まらない 歩き出したら止まれない

 パソコン室から出た俺たち二人は下駄箱で靴を履き替え、外に出た。

 校門まで歩いてる最中に瑞希からこんなことを言われる。

「ねぇ、少し寄り道しない?」

 俺よりも少し前に出て、こちらを覗くように俺の顔を見ながら言ってきた。

「あ、うん......。まぁ、少しなら」

 俺は断る理由もなく、帰っても勉強をするか漫画を読むくらいだったため了承する。

「やったぁー!じゃあ、決まりっ!」

 返事を聞いた瑞希は、少女のようにはしゃぎながら小走りで校門を出ていく。

「お、おい。ちょっと待ってよ。てか、どこに行くんだ?」

 瑞希は立ち止まり、くるりとこちらを振り返り口を開く。

「んー、とりあえず駅前にでも行ってみよっか!」

 駅前といえば学校帰りの生徒が寄り道をする鉄板の場所である。そんな所に俺が、ましてや女の子と二人っきりで繰り出すなんて想像がつかない。

「別に駅前じゃなくてもいいんじゃない?例えば......公園とか?」

 俺は人混みがあまり好きではないため、人が少なそうな場所の代案を言ってみる。

「えっー!まぁ、公園も良いけど今日は駅前の気分なの!甘いもの食べたい!」

 なるほど。この子は甘いもの目当てで駅前に行こうとしているのか。ちゃんとした目的があるのならば仕方ない。

「なんだよそれ。じゃあ、駅前に行くか」

「わーい!甘いものー!最近出来たばっかりのいい感じのお店があるんだー。楽しみ!」

 二人は駅前に向けて歩き出す。

 駅まではそこまで遠くないため話しながら歩いているとあっという間だ。

 道中は、瑞希の話を聞いて俺がちょうどいいタイミングで相づちやツッコミを入れるいつものパターンで会話が続いた。

 昨日のテレビがどうとか、好きな俳優や女優の話を熱く語ってくれたが、俺は普段あまりテレビを見ないので、盛り上がるというよりも知らない情報を入手するという意味では有意義であった。

「あっ、もうそろそろだね!」

 瑞希がそう言った所で、既に駅前付近に来ていた。

「そうだな。もうこの辺から駅前だけどな」

 さすがに平日ということで、人は少ないと思いきや交差点は人だらけだ。

 というのも近くに小学校があるため、人が多い理由は小学生の集団だったため俺が苦手な人混みとは少し違い、安心する。

「あー、可愛い!小学生がいっぱい!」

 瑞希はそんな子ども達を見てテンションが上がっているみたいだ。

「そうか?こいつらもどうせ人間関係とかでドロドロギスギスしてるんじゃない?」

 と言った所で、頭に軽い衝撃が走った。

「いたっ」

 瑞希が笑っているが少しふくれているそんな難しい表情をしていた。

「そんなこと言わないの!高山くんは少しひねくれ過ぎ!」

 瑞希に怒られたのだが、また久しぶりに名前で呼ばれたためそちらの方が少し驚いた。

 そうこうしているうちに信号が青になったため、歩き出そうとした。

 その時であったーー

 一人の女の子がずっとこちらを見ているようであった。

「ん?どうしたの?」

 どうやら瑞希はその女の子には気付いておらず、俺が立ち止まったまま違う方向を見ていたため何をしているのか聞かれる。

 だが、俺はその子がなぜこちらを見ているのかが気になり、視線を移さずにいた。

「あらー、可愛い子!え、なんでこっち見てるのー?」

 瑞希もその子に気が付きこちらを見ていることに疑問を抱いたようだ。

「わからん。何かずっとこっち見てたみたいだぞ」

 女の子はきょとんとした表情でまっすぐにこちらを見つめている。

 どちらかというと、俺を見ているような気がした。

「ねぇ、お嬢ちゃん。どうしたのかなー?」

 瑞希がそう女の子に話しかけると、ビクッとして急いで後ろに振り返り走るように逃げていった。

「あっ、ちょっと待ってー!怪しい人じゃないよー!」

 瑞希の叫びも虚(むな)しく女の子はそのままどこかへ去っていった。

「えぇー......」

 瑞希はとても驚いていたようで、少しショックを受けていた。

 信号が再び赤になったので、青まで待つことに。

「まぁ、あれだな。ドンマイ」

 俺はかける言葉も見つからず、気にかける言葉のベストテンに入っているであろう言葉で慰(なぐさ)めた。

「私、何がいけなかったのかなー?」

 瑞希は思った以上に落ち込んでいた。

「うーん、何か分からないけど、とりあえずお嬢(じょう)ちゃんはないんじゃないかなー」

 俺は理由は分からないと言ったが、内心お嬢ちゃんが八割だと思っていた。

「えー!?どうして?じゃあ何て呼べば良かったのよ!」

 瑞希が少しムキになっている所で信号が青に変わり、再び歩き出す。

「てか、そもそも知らない子に話しかけること自体が良くないんじゃないか?」

 残りの二割を言ってしまったので、次に質問が来たら返す言葉が残っていない。

「じゃあ、知らない子と仲良くなっちゃいけないっていうの!?そんな世の中嫌だよ!この世はみんなお友達じゃないの?」

 何かすごいことを言っているが、本気でそう思っているわけではないだろう。だが、瑞希の事だから少し思っている可能性がある。

「まぁ、みんな敵ではないわな」

 そう言っている間に、思いっきり新装開店したような綺麗なカフェがあるのだが素通りする。

 (あれ?ここではないのかな)と、内心思ったが違うのだろう。会話を続けながら進む。

「でしょ!?みんな仲間だよ!高山くんもそう思うでしょ?」

 案(あん)の定(じょう)、質問されたため残された言葉がなかった。

「......まぁ、あれだな。ドンマイ」

「なによそれ!ちゃんと人の話聞いてる?」

 ベストテンでは通用しなかったようだ。

「そんなことよりお店ってどの辺なの?」

 今度は、その場しのぎのベストテンである会話の転換を試(こころ)みる。

 瑞希は周りを見渡して、少し苦笑いしながらこちらを見つめこう言った。

「あれれー?通り過ぎちゃったみたい......。てへっ」

 彼女は人をイラッとさせる語尾のベストテンを使っていた。

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