↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
日常系ネガティブワールド  作者: 神楽坂かぐら
PR
55/78

第五十五話 嫌な気持ちはさっさと忘れてしまおう 大切なことを忘れてしまう前に

 最初は四人居たパソコン室も今では二人だけになってしまった。

 放課後のいつもの男女二人っきりというシチュエーションなのだが今回の二人っきりの相手はいつもとは違う。

 隣に居る河合瑞希がすっかり元気を無くしているようだった。

「あいつもなんか嫌なやつだな」

 俺は瑞希のフォローのつもりで言った。

「そんなことないよ。三島くんはいい人だよ。クラスでも人気があって爽やかで」

 瑞希が三島の特徴を言っているみたいなのだが俺の知っている人なのか疑問を抱く。

「爽やかって、さっきのやつが?誰かと間違っているんじゃないか?」

「ううん。さっきの三島くんだよ?三島拓人(みしまたくと)くん。去年は違うクラスだったけど、それでも名前は知ってた。噂になってたし」

 俺は全く知らないのだが、確かに顔は見たことあるようなないような感じがした。

「噂って?」

 どんな噂か気になり話を聞く。

「色んな女の子からモテてるとか、友達百人居るとか?」

 それを聞いた瞬間、俺とは分かり合えないなと思った。

 友達一人で色んな女の子に嫌われている真逆の人間だからである。

 今やその一人とさえも危うい関係だ。

「すごいな。俺みたいなやつとは住む世界が違うんだろうな」

 素直に思った事を口に出した。

「そんなことないよ!高山くんも十分女の子にモテると思うよ?友達も頑張ればたくさん出来ると思うし」

 俺は瑞希にフォローしていたせいか瑞希からフォローを返してもらった。

 あと、『高山くん』と名前を呼んでもらえたことで気付いたのだが、俺は河合瑞希の事を河合さんと呼んでいるが、心の中では瑞希と呼んでいた。

 最初会った時に瑞希と呼ぶように言われたからなのか。流石に口に出すのは恥ずかしいので呼ぶときは名字で呼んでいるのだが。

「ありがとう。ていうか、河合さんとこんなに話したのって今日が初めてだよね」

「そうだねー!最近会わなかったもんねー。まぁ、今日は色々あったけど......その......ごめんね?」

 少し笑顔が戻ったかと思えばまた悲しそうな表情を浮かべている。

「いや、河合さんのせいじゃないよ!俺の方こそごめん!俺のせいで色々と巻き込んじゃって」

「そんなことないよ!とりあえず来週また学校で会った時に桜には謝っておくから。高山くんも桜と仲直りしてね?」

 ようやく笑顔を見せた瑞希であった。

「うん、わかった。ありがとう。ところで河合さんは今日のしおり制作は何をしたの?」

 俺のその質問で瑞希の顔からは再び笑顔が消えていき、何かを思い出して焦っているような複雑な表情に変わった。

「......。なんにもしてない......」

 確かに瑞希は俺と話してばかりで、人の事を教えたりしてくれてたものの自分のパソコンとあまり向き合っていなかった。

「あっ......、なんかごめんね?全然進んでないのに話しかけたり色々教えてくれたり」

 俺は瑞希に対して申し訳ない気持ちになった。

「ううん、違うの。そんなんじゃないの......」

「あっ......そうか。そうだったね。色々あったから仕方ないね」

 確かに今日は色々あったから進むものも進まないはずである。その気持ちはわかる。

「いや、それも違うの」

 俺に構ってたせいでもなく、色々あったせいでもないとなると何故彼女は作業が進まなかったのだろうか。少し心配になり、疑問に思ったため聞いてみることにした。

「じゃあ、どうして進まなかったの?」

 問い詰められていると思われないように慎重に優しく話しかける。

 するとすぐに答えは返ってきたーー

「忘れてた」

 心配して損をした瞬間であった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。