第四十七話 勘違いで見込み違い 検討違いですれ違い いつも違ってばかりいる
六時間目のLHRもそろそろ終わる頃がやって来た。
本日最後のバスの座席決めをしている最中、俺は勘違いをしてしまい、一人の女子生徒を余計に困らせてしまったのであった。
「え......、あっ、うん。えっと、ありがとう」
突然の指名を受けて社交辞令であろう言葉が返ってきた。
「えー、あんたみのりんの事好きなのー?」
「お前まじか!いつから好きだったんだよ!」
同じ班の男女に冷やかしを受ける。
明確な言葉を聞いたわけではないのだが、一瞬で自分はとんでもない発言をしたのだと思い、恥ずかしくなった。
「いやっ、ちがっ、別に俺は......」
俺が反論しようとすると、同じ班のある一人がこう言った。
「お前らちげぇーよ。そんなんじゃないだろ」
俺は驚いた。加藤がそう言ったおかげで二人は、
「だよねー!」
「この中では、宇治島さんか天道さんが一番まともだしな!」
と、笑い話に変わっていった。
加藤は一瞬俺の方を見たが、すぐに目線を移し、宇治島に話しかける。
「宇治島さんはどうする?それで良いなら残り四人で後は決めとくけど」
「う、うん。別に良いけど、私が思ってたのは役割ごとの二人で隣になった方が良いかなって......」
宇治島は少し困った様子ではあるが、明るく言った。
「あっ、それいいねー!」
「ナイスアイデア!これで六人全員決まりだね!」
先ほどの二人が乗り気で納得しているようだ。
「なるほどね。俺はそれで良いけど天道さんは?」
加藤が天道に問いかける。
「私は先ほど誰とでも構わないと言ったので大丈夫ですよ」
天道は相変わらず笑顔で答える。
「どうかなー?高山くんは嫌......?」
宇治島に聞かれているはずなのだが、これは班全員に聞かれているのと変わらない気がする。
「いや、大丈夫です......」
皆の希望に応えるため賛成の返事をした。
「なら、これで決まりだねっ!前と後ろと真ん中はどうする?」
「私は前が良いー!酔わないためにねー」
「なら、二人は前ね」
設置片付けの二人は前に決まった。
「高山くんと天道さんはどうー?」
宇治島に聞かれたので天道が先に返答した。
「私は別にどこでもいいわ」
「俺は......後ろが良い」
俺は後ろから視線を感じる事が苦手だ。だから、出来るだけ一つでも良いから後ろに行きたい気持ちがあったので、またもや選択肢を絞る返答をした。
「俺は別に何でもいい」
加藤がそう言ったので、加藤と宇治島が真ん中の座席に、俺と天道が後ろの座席になった。
「じゃあ、紙に書いて先生の所へ持って行くね!」
宇治島が紙に書いて先生に報告しに行ってくれた。
そして、全ての班が決まった頃だろうかーー
(キンコーンカンコーン)
六時間目の終了の合図のチャイムが鳴った。
「はーい、今日はここまで!皆ご苦労様!今日だけで全部決めることができた!しおり制作は委員長に任せるとして今日、この後残っててくれ!それでは、解散!」
「さようならー!」
クラスの生徒達から別れの挨拶が飛び交う。
鑑野先生はそれを聞き、教室から出て行く。
「今日は、みんなありがとう。楽しい遠足になると良いね!」
宇治島が班の皆にそう言うと、
「そうだね!いっぱい楽しもうね!」
「なんか今からわくわくしてきたわ」
二人が楽しみだと返事をしていた。
「そうですね。宇治島さんも今日はありがとう」
天道が宇治島に感謝を述べている。
「いえいえ!天道さんも委員長で大変だっただろうし、それに私が勝手にこの班に天道さんを誘ったんだし」
「まぁ、天道さんも宇治島さんのおかげでこの班で良かったって思ったんじゃないか?」
宇治島の後に加藤が続けて話した。
「そうですよ。この班で良かったと思ってるよ!」
明るく天道が返す。
「ありがとう!じゃあ、委員長の二人はしおり制作頑張ってね!みんなのためによろしくお願いします!」
「ありがとう!喜んでもらえるように頑張るわ」
「じゃあ、みんなまたね!」
宇治島が挨拶をして帰っていくと、皆も徐々に帰っていった。
俺は発言するタイミングを逃してしまい、挨拶すらも満足に出来なかった。




