第四十三話 日々は挨拶の連続である 挨拶で始まり挨拶で終わるのだ
あれから俺は鞄を取りに再び教室へ行き、帰宅した。
家に帰っても何故天道は来なかったのか、その事だけ堂々巡りに考えていた。
翌朝ーー
寝不足が嫌いな俺は大好きな睡眠と別れて起床する。
やはり、考え事が一つでもあると人は眠れないものであると俺は今になって気付いた。
いつも通りの支度を済ませて、登校する。
今日は寝不足だったこともあり、母親に『いってらっしゃい』の後に『気をつけてね』をサービスしてもらった。
とりあえず、寝不足とは言えど少しは寝ているので学校で寝ることだけは気をつけよう。
学校に着き、教室へと向かう。
今日は天道から挨拶をされてもきちんと受け答え出来るように心構えをしなくては。
そう考えていたので、準備は出来ている。
教室へ着き、中へ入って自分の席に座る。
......。
隣の天道は近くの女子と話している。
鞄を机に置き、着席した事を知らせる。
......。
おや?中々、挨拶をされないことに焦る。
昨日までは挨拶されないのが普通だったのに、たった一日で挨拶されない事に違和感を覚えるのであった。
(もしかして、昨日挨拶した時に周りから何か言われたとか?)
そんなことを考え、俺から挨拶をすることもなくチャイムが鳴る。
鑑野先生がやって来た。
「おはよう!」
「おはようございます!」
朝の挨拶の定番の四文字を九文字にして返すこの日課を今日の俺は少し心を込めてしてみた。
昨日、挨拶も良いものだなと思った矢先に天道と挨拶を交わす事が出来ずにいたため、用意していた挨拶がすんなり出てきたのである。
「おっ、珍しいな委員長。元気の良い挨拶じゃないか」
そう言って、鑑野先生は俺の方を見る。
クラスの皆からも視線を感じる。
俺は元気良く挨拶をしていたことがバレていた事に恥ずかしく思い、皆からの注目を集めていることでさらに恥ずかしくなり、少し顔が赤くなるのが分かった。やり場のない気持ちで俯く。
「その調子で今日の六時間目のLHRもよろしく頼むぞ!二人とも」
「はい!」
天道だけの返事を疑問に感じる人は居なく、顔を上げると皆の視線は俺から鑑野先生へと変わっていた。
「では、今日も一日頑張ってくれ!以上!」
そう言って、いつものように去っていった。
今日は待ちに待ったLHR。しおりの内容を決めるのだ。
正直、このままずっと待っていたいくらいである。
先週は、最悪であった。俺の言い方が悪かったのもあるが、クラスの皆から非難を浴びたのであった。
だが、今日は頼もしい協力者が居るーー
天道が居ればなんとかなるだろう。
一応は安心して今日一日を過ごせるだろう。
だが、その天道というのが昨日からおかしいのだ。
『放課後残ってて』という紙を俺に書いておきながら、自分は無言で帰り約束を破る。
そして、今日は昨日してきた挨拶をしない。
何か、彼女を怒らせる事でもしてしまったのだろうか。
そう思っても、思い当たる節がない。
結局、疑問を抱えたまま天道とやはり話すこともなく、六時間目のLHRを迎えたのであった。




