第三十六話 こうして日常は過ぎる こうして非日常が訪れる
家に着いた俺は、自分の部屋で今日のことを思い返す。
あのノートは一体いつから書いているのだろうか。
本当に誰にも見せて居ないのかーー
そんな事を考えているうちに眠ってしまった。
「チュンチュン」
小鳥の囁きがどこからか聞こえる。
やがて意識が戻り、目を覚ます。
どうやら、時計が起きる前に起きたようだ。
とても、良い目覚めである。
少し早いが、顔を洗って朝食へ向かう。
いつも通りの朝食をとり、家を出て学校に行く。変わったことも起こらずに学校へ着き、着席する。
席に座る瞬間、隣から天道の視線を感じた。が、隣を向くと一切こちらを向いておらず、周りの人たちと話していた。
いつも通り、授業が始まるまで読書をする。
授業が始まり、先生に当てられたりしたが難なく正解を答える。
こうして、今日も一日終わろうとしていた。
昼休みの弁当の時間。弁当を食べようと、鞄の中から弁当箱を取り出すと、紙切れがヒラリと落ちた。
拾って、見てみるとーー
そこには『放課後教室に残ってて』
と、いう文字が書かれていた。
一体、誰が書いたものなのだろう。
これはもしかして、ラブレターなのか?俺は今日とうとう女の子から告白されるのではないか?
と、思ってみたりするものの検討がついているため、高揚する事もなかった。
なぜなら、昨日も同じメモを見たからである。
天道が今日も呼び出してきた。
そう思うだけであった。
そしてなによりショックな事があったーー
それは、今日の弁当に唐揚げが入ってなかった事である。
ショックを隠しきれずにため息を漏らす。
再び天道の視線を感じたが、気のせいだろうと思い弁当を食べる。
午後からは時間が過ぎるのはあっという間だった。
授業が終わり、終礼もいつも通り終わったので、皆が下校し始める。
流石に昨日と同じく二人が帰らずに教室に残っているのもおかしいと思い、一度教室を出ることにした。
鞄を取り、立ち上がって教室を出ようとする。
するとーー
天道が咳払いをし始めた。
俺は、後で戻ってくるからと心のなかで思いながら教室を出る。
「コホンッ!コホンッ!コホンッ!」
扉付近に近づくと、咳払いが激しくなっていたように思えたが、気にせずに教室を後にする。
「ちょっと、天道さん大丈夫?体調悪いの?」
「あ、いやっ......大丈夫大丈夫!」
そんなやり取りが微かに聞こえて廊下を歩いていると、やがて教室の声は聞こえなくなった。
下校中の生徒と反対方向に階段を登る。
階段を登り終えて、屋上の扉の手前で座り込み本を読み始めた。
それから、どれくらいの時間が経っただろうか。
生徒の声が一切聞こえなくなっていた事に気が付く。
せいぜいほんの十五分程度だったと思うが、そろそろ教室に戻っても良い頃だろう。
何かあっても忘れ物をしたと言えばいい。
閉じた本を鞄に入れて階段を降りる。
教室へ向かうため廊下を歩いていると、やはり他のクラスも教室には人がほとんど居ない。
自分のクラスへ着き、教室へ入るとそこには誰も居なかった。
(もしかして俺が先に帰ったと思って天道も帰ったのかな?)
そう思い、少し焦る気持ちもあったが仕方がないと諦めて帰ろうとする。
振り返ろうとするとーー
「遅いじゃないの」
聞いたことのある女の子の声がした。




