第三十四話 十人十色 一人十色
開いたノートのページにはこう書かれていた。
『四月十三日。今日は週始めの月曜日だから気が重い。土日もカテキョーと料理教室に空いてる時間はピアノの発表会の練習だったから、疲れがとれるどころか溜まってる。しんどい。なんのためにやってるんだろう私。学校では対して仲良くもない人と相手しなきゃいけないし、休ませて欲しい。加えて、隣の席のバカはメモに気付くの遅いし、話しかけてくるし。バカなんじゃないの?まあ、私は優しいから許してあげるけど。あと、今日の放課後は......楽しみ』
と、乱雑に書かれてある日記のようなページであった。
この日記を書いた人は、どうやらとても忙しい毎日を送っているようだ。
そして、習い事から推測するに育ちが良いお嬢様なのではないか。
学校では、色んな人に話しかけられるのだろう。隣の席にはよほどのバカが座っているのか、かわいそうである。
日記の持ち主は優しい人なのだろうな。放課後は何か楽しみにしていることがあるのだろうか。
とーーそんなことを考えて読まなければ、最後まで読む自信がなかったのだ。
読み終えた俺は何故かとても疲れていた。
ノートをそっと閉じ、覚悟を決めて現実に戻った。
彼女の日記を読み終えた所で、こう思った。
これは日記というよりも愚痴なのではないか......。と、思いながら天道の方を見た。
「読み終わったの......?」
恐る恐る聞いてくる天道。
「うん、読んだよ」とだけ返事をする俺。
「どうだった?」
不安げに聞いてくる彼女はとても可愛いらしいが、ノートを書いた本人だとは思えない。
先ほどの威圧感たっぷりの天道を見たから本人だとは思えるが。
「うーん、これは日記というよりも愚痴かな?」
先ほど思った事を口に出してみる。
「まぁ、そうね。おかしくない?」
今はひ弱な天道のようだ。
「別におかしくないんじゃないか?俺だって愚痴くらい言うし、みんな言うだろ」
そう言うと天道は嬉しそうに、
「だよね!これくらい普通だよね!あー、良かった。心配して損しちゃった!」
と、笑顔をこぼす。
「でも、この最後のバカって俺のことだよね......?これはどうかと......」
ノートに書いてあった聞き捨てならない言葉を指摘する。
「はぁー?それはあんたが悪いんでしょ」
あれれ?急に威圧感天道に逆戻りしてしまった。
これはこのノートに書いてある愚痴や不満は別におかしい事ではないと、相談を聞いてすんなり解決するパターンではないのか?
とりあえず、今日のミッションは終了したので少し安堵する。
「それはごめん。でもノートになってって意味が分からなかったからさ」
天道が不満そうに、
「このノート読んだでしょ?それで分かったでしょ」
と、言われたが全く分からない。
とりあえず、天道はヤバイやつだということが分かったのでこれ以上、あまり関わらないようにしようと思い、帰ろうとする。
「分かった分かった!ごめんな!それじゃあ、用も済んだことだし俺は帰るわ」
と、言って鞄を取って帰ろうとする。
するとーー
腕が反対方向に引っ張られて、バランスを崩しそうになった。
「えっ?」
と、後ろを振り返るとそこには、俺の腕を掴んで引っ張っている天道の姿があった。




