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紅い死神の征魔戦争  作者: 雨色 A音
75/83

第75話 飢えた『暴食』

投稿遅れて申し訳ありませんでしたあああ!

あのツイートした直後に急な用事が立て込んで

執筆できる時間を作ることが出来ませんでした!


それでは75話 どうぞぉ!


ゼノンのプロフィールを後書きに載せておきます。

「さっむ!!」


「寒いにゃ‥」


「久しぶりに来たなぁ‥モスクワ」


白い息を吐きながら、極北の大地に足を踏み入れる影が五つ。いつもより厚着に身を包んだ第31小隊の姿だった。


「白鳩さん。バスの時刻表はどうなってます?」


「ちょうど十分後だよ矢岬ちゃん。あのバス停でウィザードライセンス見せれば、終点の先まで連れてってくれるよ」


「そこにあるんですね‥ロシア支部」


「あぁ‥‥でさ村雨ちゃん。一つツッコミ入れていい?」


「‥私も思ってます‥」


「私も‥」


「なんだよ突然止まって」


「そうだにゃ。話はちゃんと聞いてたにゃ」


「いやさ‥‥なんで二人共マフラーだけなの!?」


三人が普段の服装に加えて防寒着で身を包む中、豹助と叶夢は普段の服にマフラーを巻いただけの状態であった。


「こっちの方が動きやすいし」


「叶夢の言う通りだにゃ‥ごちゃごちゃしてると動きづらくてありゃしないにゃ」


「珍しく意見が合うな豹助」


「いえーいだにゃ」


「馬鹿すぎるでしょ‥」


「馬鹿とはなんだよ白鳩。軽装の方がいざというときの動きやすさは段違いなんだぞ」


「そこなんですって隊長‥」


白鳩と紫以奈が呆れながら二人を見る。


「第一、白昼堂々魔族が出る方が珍しいんですよ?」


「珍しい‥ねぇ?」


「キャーーー!!」


会話を遮るように甲高い悲鳴が五人の耳に入る。悲鳴の方向を見ると、そこには二体の羽の生えた魔族が一般人に襲いかかっていた。


「ほんとに出た‥二人とも! 戦闘はい‥」


白鳩が指示を出そうと叶夢と豹助に視点を戻すと既に二人の姿は無く、一目散に魔族の元に駆け出していた。


「飛距離はギリギリか‥俺は一般人を救出する」


「じゃ、討伐は俺に任されたにゃっと!」


叶夢は抜刀して一般人の前に踊りでると、放たれていた魔力の塊を正面から一刀両断する。そしてその横を二本の聖剣を展開した豹助が魔族目掛けて走り抜けて行った。


「おーらよっと!」


豹助はその手に持った聖剣を自分ごと空に打ち上げ魔族との距離を詰めると、そのまま魔族の首を撥ねた。


「一匹!‥んでもって時間凍結フリーズ・ワールド!」


豹助の言葉と共に、豹助以外の時が止まる。静止した世界で豹助は持っていた聖剣を背を向けたまま止まった魔族に投擲すると、そのまま地面に着地し、魔法を解除した。


「ーーー!!!」


「二匹討滅完了だにゃ!」


「あ、あの‥あなた方は?」


「あぁ、俺らは」


守りきった命に笑いかけるように、叶夢と豹助は口を開く。


「「征魔士ウィザードだ (にゃ)」」


ーーー


「はぁ、余計な魔力使った‥」


「お前魔法使ってねえだろにゃ‥」


「そりゃな‥身体暖まるぐらいにはなったから問題なし」


魔族を討伐した後、事後処理を警察にまかせた叶夢達はモスクワ郊外の森を訪れていた。

一面の銀世界に雪を踏む音と話し声だけが響いていた。


「ま、身軽さこそ正義って訳だ」


「偶然出てきた魔族に神反応した結果でしょ‥」


「黙っておいてあげましょう白鳩さん‥隊長も豹ちゃんも少し浮かれているんです‥」


「紫以奈が言う浮かれるのにも限度があると思うのですが‥」


「にしてもまだ着かないのかにゃー?」


「地図だとこの辺から分かれ道がって‥‥うっ」


道を進んでいた白鳩が突如として口元を抑える。


「白鳩さん?‥うっ‥」


「何だにゃ‥この匂い‥」


「豹ちゃん‥何これ‥」


「何かが焼ける匂い‥‥です‥」


「‥‥こんなに早くとは‥」


四人が異臭に鼻を摘む中、叶夢だけが張り詰めた表情に変わる。


「叶夢くん?」


「‥あぁ。ロシア支部の建物は右の方向に行けばある。俺は匂いの方向を追う」


「待てよ叶夢。俺も行くにゃ」


「万が一もある。副隊長のお前に全権預けるから‥それに‥」


叶夢は一呼吸置いて、言葉を吐く。


「こっちは地獄だ。俺のだけのな」


叶夢はそう吐き捨てると、左の道に足を踏み入れた。


ーーーーー


「叶夢の野郎‥何のためにあんにゃことを‥」


「恐らく‥」


「多分そうだろうね‥‥」


「で、どうするの豹ちゃん? 副隊長が全権持ってるけど」


「普通に考えて止めに行くのが隊長の判断だにゃ。でも一人の男としてはケリつけて来いって言うのが正解だにゃ。それに‥」


「それに?」


豹助の脳裏に直前の叶夢の顔が過ぎる。


「‥‥あんな覚悟決めた目で言われたら止めるものも無理って話だにゃ」


ーーーー


叶夢の歩いていた道は四人の道とは対照的に様々なイノチだったものの肉片らしきものが辺りに散乱していた。叶夢はそれを一瞥し、前に進み続ける。


「こんな派手な出迎えしやがって‥どんだけ俺に会いたがってたんだよ。一周まわって俺の事好きなんじゃないのか?」


冗談交じりに独り言を呟きながら、叶夢は戦闘の準備を整える。腕の黒の包帯を巻き直し、同時に魔力回路に魔力を流し込む。呼吸を整えて静かに刀を鞘から抜刀する。


「まぁ、そんな訳ないよな」


自嘲気味に言葉を吐き、その足を進める。そして、しばらく歩き続けていると開けた場所に出た。


「‥‥」


飛び散った肉片は燃え続け、所々の樹には黒い切断痕が残っている。叶夢は鼻につく焦げた匂いはそこから来ているものだと気付く。


「‥ッ!」


突如。叶夢の鼓膜が後方から僅かな振動を感じ取る。何者かが地面を踏み砕く音。風を切って迫ってくる轟音。そしてその姿が叶夢の視界に映る。


「待ってたぜ‥叶夢ィ!!」


凄まじい殺意と共に高熱の大鎌を振り上げた赤い髪の青年が、叶夢の後ろから現れた。青年は大鎌を叶夢に向けて振り下ろすが、叶夢が構えた刀によってその刃は叶夢を切り裂く寸前で止められる。


「よう、ゼノン。落日ぶりだな」


「テメェのこと、忘れた日は無かったぜェ‥‥今日という日をどれだけ待ち望んだかァ!」


黒いコートに身を包み、赤い髪にコバルト色の目を持った青年、ゼノン・マクスウェルがここに刀堂 叶夢との再会を果たした。


「あぁ。俺もだよ」


「ンでどの面下げて俺の前に現れやがった? まさか、朔夜やベロニカ見てェにオレにまで許しを乞うなんて考えてんじゃねぇだろうなァ?」


「『そうだ』と言ったら?」


「馬鹿かテメェ。裏切り以前にオレはテメェの事が嫌いだ。はなっから殺す以外の選択肢を持ち合わせてねェんだよ!!」


ゼノンが己が怒りを叫びながら、叶夢を刀ごと後方に吹っ飛ばした。


「ッ‥」


「おいおい‥まだ軽い運動だろうが‥サンドバッグが後ろに飛ばされてんじゃねェ!」


ゼノンは大鎌を持ったまま、地面を蹴って前に跳躍をすると、自分が吹っ飛ばした叶夢に追いつく。そしてそのまま空いた左の拳に炎を纏わせて叶夢に向けて振り上げる。


「相変わらず暑苦しいんだよ‥ゼノン。あと人の話は最後まで聞け」


叶夢は拳が当たる寸前に、ゼノンの拳に自らの刀を下から突き刺す。勢いを僅かに失ったゼノンの拳を叶夢は辛うじて右手で受け止めた。


「くそがァ!」


「さて話の続きだゼノン。サクリファイスの話は聞いてんだろ? あれはそもそも親父の後始末で生まれた魔族だ。ゼルリッチの魔子である俺らにも責任はある」


「んな話はとっくに聞いてんだよ‥何が言いてェ?」


「手伝え。サクリファイスの討伐を。それまでお前の怒りを俺に向けるな」


「アッハハ! お前頭沸いてんじゃねえのか? 俺にとっちゃサクリファイスもお前も変わんねえよ。どっちも殺すだけだ」


ゼノンは血走った目で静かに叶夢に答えを告げる。


「‥ったく、アルフレッドのためにも穏便に済ませたかったが。やっぱ無理だな」


「何が穏便だ。最低限で済ませるの間違いだろうが」


「じゃあ言い方変えてやるよ。俺に従え」


叶夢はそう言うと左手でゼノンの拳から刀を引き抜いてゼノンに向けて振りかざす。しかしゼノンはその斬撃の軌道を見た上で両手で後ろの大鎌を取り出すと、その持ち手で刀を止めた。


「俺がテメェ相手にそんなヘマすると思ってんのかよ? 叶夢よォ!」


「そんだけの傷で手を動かすとか馬鹿かよお前‥」


「この程度‥怪我にも入んねェんだよ!」


「本当、敵に回すと厄介この上ないな‥」


「何よりテメェが俺に力技で勝った事ねえだろ? 炎熱なる拳ディバイン・フレイム!」


ゼノンの右手が燃えだし、その拳で叶夢の顔面を殴り付ける。


「ッ‥この野郎!」


「俺相手に怯んでる暇なんざ、随分と余裕そうだなァ! まだ終わんねェぞ!」


叶夢が左頬が爛れた痛みで怯んだ隙に、ゼノンは自らの武器である大鎌に手を伸ばす。燃えた右手で持った大鎌はその炎が燃え移った。


「本当に殺す気で来やがったな‥」


「死んどけ叶夢! 燃え尽きぬ死刃デスサイズ・ヘルフレア!」


叶夢の首元に炎を纏った凶刃が迫る。


(さすがに笑えないな。こいつ‥‥予想の数倍強くなってやがる。あとなにより‥俺とは死ぬほど相性が悪い!)


黒い閃光の剣ブラック・レイヴン・ブレイド!」


叶夢は刀に貯めた魔力を放出して、黒い魔力の奔流を放出する。しかしその攻撃はゼノンのすぐ横をかすめていった。


「どこに向かって打ってんだよ! 貴重な魔法なんじゃねェのか!」


(今はこれしかねえ‥悔しいが主導権は奪われちまったからな‥でも!)


「いいや、これでいい!」


叶夢は奔流にさらに魔力を放出して、逆噴射させる形で自分の身体を後方に吹き飛ばした。


「クソッ‥逃げられると思うなァ!」


叶夢は距離を離しながら頭を回す。とある後悔と焦燥が叶夢の思考を鈍らせる。


(ゼノンが予想以上に強くなってやがった‥あいつの攻撃力じゃ、一撃くらっただけで即死も余裕で圏内だ‥)


「待てゴラァ!」


ゼノンは大鎌を持ったまま、大きく跳躍し叶夢との距離を詰める。それを見て叶夢は身体の体勢を建て直して、次の一撃に備えた。


「こりゃ俺、本気で死ぬかもな」


叶夢が自分に対しての嘲笑を漏らす。しかしそれでも戦いは止むことなく、二つの剣戟音が森の中に響いた。

ゼノン・マクスウェル

170cm/60kg

誕生日 12/19


ー『暴食』は暴れ狂う。

その獄炎を以て灰塵に帰し

思考すらも燃やし刃とする

もはや彼を止めるモノは無い ー


ザクロ色の赤い髪にコバルト色の目を持ち、スーツの上に黒コートで身を包んだ少年。

使用武器は大鎌。ロシア支部第1小隊隊長。炎魔法を得意としている。性格はとても怒りっぽく、一度気に入らないことがあれば騒ぎを起こすのは当たり前。悪化すると武器を持って恐喝や殺人未遂などやりかねない危険な人物。叶夢とは犬猿の仲以上に酷く、目を合わせただけでも自らの大鎌を持って襲い掛かる程。

だが戦闘のセンスはゼルリッチの魔子の誰よりも高く、大怪我をしていても第五位の魔族を倒せるぐらいの戦闘力を兼ね備えている。

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