似非修羅場、体験中
『ジェイドさんは、どうして言語を理解しているんだ……?』
はい、やって参りました。推理小説の雰囲気です。
まさか、こんな形でまた対峙することになろうとは。
誰が、予想していたのよ。
私は、完全に過ぎたことだと思ってたのに。しつこいわね。
『なあ、アリア。アリアは俺の言語を一度聞いていたんだよな。どこで聞いていたんだ? よく言っている"前回"と関係あるのか?』
『ええ、まあ、そうね、関係あるわ。その言語はね、前回来た異世界人と同じ言語なのよ』
『俺の、1つ前の異世界人…』
そう、つまり。
ジェイドさんは前回の異世界渡りの関係者……。
あ、異世界渡りって言うのは、異世界人がこの世界に来ることを言うの。
え? 後のせ、最低?
いいのよ、後のせサクサクよ。
後にのせた方が、サクサクして美味しいの。
ん? 料理の話じゃないって?
料理の話じゃないことぐらいわかってるわよ! 失礼ね!! 例えの話でしょう!?
て、いうか!
何でシリアスムードなのよ! 私、シリアス苦手なのに!! それに、これのジャンルはコメディーでしょう!?
シリアスに持っていってはダメ! 絶対!!
そんな思いが通じたのか、カタリナさまが口を挟んできた。
「もう、マリヤ! 私には、その言語は理解できないんだってばっ! それから、そいつとばかり喋ってないで、私とも喋ってよっ!! マリヤは私とそいつ、どちらが大事だって言うの!?」
え、何これ、修羅場?
てか、私は貴女の夫か!?
"私と仕事どちらか大事なのよ!?"
ってやつですか!?
しかも、なんでちょっとマンネリ化してきた夫婦なの!?
そこは、こう、
"私のこと構ってくれたっていいじゃない! ぷぅ"
みたいに、可愛く言ってみてよ!
"そんなんだと……"
ん? あれれ? 私、今こんなこと考えてないわよ? 何で勝手に続きとか出てきてるの?
止まれええええ! 続きなんて見たくないんだぁぁぁ!! あんまり、いい予感がしないんだもの!!
"そんなんだと、私…、私っ!"
て、ええぇぇ? なんで? 何で止まらないの!? これ、だって、私の脳内よね。何で私の意思で終われないの!?
"私…あんたを世間から末梢しちゃうゾ☆ てへっ♪"
えええええ!?
何で!? 何でそうなるのぉぉぉ!? てか、可愛いな、おい!
まあ、言っていることは非常に怖いけど……。
「マリヤっ!! どうなの!? まさか、そいつの方が大事だなんて言わないわよね!?」
え、マジでどうしよう……。
私、そんなに修羅場馴れしてないんですけど。いや、実際には初めてなんだけど。どう対応したらいいの?
"カタリナさまの方が大事ですよ!"
と、言った方が良いのよね、多分。でも、何故か太郎君が目をキラキラさせて見てくるんだけど。え、なに、自分が大切だと言われると思ってるの? 一応、今後のためにも二人と仲良くしておきたいんだけど。
何て答えよう、うーん。
ここは無難に……。
「そんなことは、どうでもいいではありませんか! 私がどちらを大切にしているかなんて、愚問ですよ? わざわざ、私に確認しなでください(さっと、通し目)」
THE 悟ってください解答!
これぞ、まさしく"お茶を濁す"ということね!
二人とも、自分のことだと思って、嬉しそうです。
さすが、自分に自信のある者は違いますね。自信のない者は、自分だとは思わないのに。
「そういえば、カタリナさま。太郎君(仮)のことについて説明まだでしたよね。今から、説明しますね」
ふっふっふっ、話がまた修羅場にならないように、話をすり替えますよ。
ちょっと、いえ、かなり唐突ですが。ここは、気にしたら敗けです。
「そうだったわ。そいつとマリヤの関係について話し合いをしなければいけなかったわね…ふふふっ」
ん? あれ、またもや不穏な空気が…。
もしかして、私…。自分で墓穴掘った? 自爆してる?
『なあ、アリア』
呼ばれて声の方向を見てみると、太郎君(仮)が真剣な目で私を見つめていた。
え、何でそんなに真面目な顔してるの? また、シリアスに逆戻りなんて嫌だよ?
『ジェイドさんについては取り敢えず、警戒しとかないといけないような気がする…。アリアも余り不用意に近づくなよ』
いや、あの、近づくなよって言われましても…。
既に一緒にいることを承諾した後なんですけど…。本意じゃないけどね!
ちょっと、遅かったな! もう少し、早く来てくれると良かったんだけど!!
まあ、どのみち私はジェイドさんといることになっていたんだろうけどね。だって、脅されたんだもの。
「で? マリヤ? 説明してくださる? そいつは何処の誰なの?」
「えっと、彼は……」
うーん、何て言えばいいんだろう……?
異世界渡りは10年に一度だけ。同時に何人か来ることは可能かもしれないけど、少し遅れて異世界渡りがあるなんてことはない。必ず、一人だけ来ていたの。だから、今回太郎君(仮)が異世界人だと言っても、今までに前例がないから信じてもらうことは難しいの。
まあ、実際には私は違うから前代未聞でも、なんでもないんだけど。
でも、異世界人ではないとすると、不法侵入者? うわっ、この世界に来て早速犯罪者になっちゃうのね。
かぁーわいそぉー。
「彼も異世界人ですよ。丁度今来られたんです」
「異世界人!?」
「ええ、だから私とも話せるんですよ〜」
「貴方異世界人だったのねっ!! キャーーー! 嬉いぃぃ!! これからよろしくねっ!」
『え、何この手のひらを返したような反応』
『仕方ないわ、カタリナさまは無類の異世界人好きだから。異世界人ラブっ!の人だから』
「キャー! 本当にどうしましょう! 異世界人が二人も来るなんてっ! 嬉しすぎるぅぅぅ!!」
『異世界人が二人?』
『あー、私、異世界人だって偽ってるから』
『ふーん。後で事情聞かせろよ!』
『はいはい……はぁ』
「そうだわっ!!」
ん? 何やら嫌な予感……。
怖すぎる。何をするか予測できないから、尚更。
『なぁ、すっげぇー、嫌な予感がすんだけど』
あ、太郎君もなのね。これは、間違いなさそうね。残念。
「マリヤはお兄様と、太郎君(仮)、だったかしら? 太郎君(仮)は私と結婚すれば良いのよ! 私ってばあったまいーぃ!!」
「却下です」
……。
…………?
私と太郎君(仮)は、同時に一時機能停止してしまった。そして、復活したのもまた、同時だったらしい。
え? なんて?
けっ、こん?
ケッコン、けっこん、結婚!?
「『はぁぁぁぁあああああ!?』」
マリヤさまと太郎君(仮)さまの絶叫は、屋敷全体に響き渡っていましたよ。庭の木に留まっていた鳥たちも一斉に飛び立って行ったんです。他の侍女や、執事も皿を割ったりだと大変だったんです! もう、本当に凄かったですよ!! 後に侍女Cはこう語っていたのだった。
いやぁ〜、五月蝿くしてしまって、すみません。(ぺこり)
ん? あれ? 私と太郎君(仮)は機能停止してたんだよね。
なら、誰が反対していたの?
すぐさま、却下と言ったのは、……誰…?
って、また、今回も前回同様推理小説の雰囲気で終わっちゃったぁぁぁ!!




