推理小説はやって来るよ、何処までも。
今までの比じゃないくらい長いです。
お時間があるときにどうぞ読んでください。
「マァァアアアリィィィイイイイヤアアアアアアア!! 起きた!? 朝ごはん食べましょう!! て、ギャァァァアアアアア!! 誰あんたぁぁぁあああああ!! 大事な大事な私のマリヤから離れなさい!! 半径3m以内に入ってこないで!!」
突然、カタリナ様が入室してこられました。
いつも思うのですが、静かに入ってはこれないんですか?
「カタリナ様……。いつ、私は貴女のものになったんですか……」
『うわっ、俺、顔見て絶叫上げられたの初めてだ』
『へっ、どうせ黄色い悲鳴しか上げられてこなかったんでしょう? 死ね美形が! 美形なんて居なくなればいいんだぁぁぁああああ!!』
「そうですね、私もマリヤさんに賛成いたします。私は別に彼のことを美形だなんて思いませんが、彼の顔を見ていると殴りたくなるんです。だから、消えてください。今すぐに」
「ジェイドの言う通りね。この顔見ているとアイアンクローをかけたくなるの。いいえ、間違ったわ、存在自体なくしてしまいたくなるのよ」
『えぇ!? なに、この人たち!! 酷いんですけど!?』
「カタリナ様も随分言われる方だったのですね。知りませんでした」
ジェイドさんが、感心したように言った。
そういうところに感心するのってどうかと思うわよ。
「だって、私のマリヤを取られたくないの!」
「だから、いつから私はカタリナ様のものになったんですか?」
『なあなあ、マリヤってあんたのことか?』
『ええ、そうよ。話合わせてね。事情の方は
貴方の推理に任せるわ』
「ねえ、マリヤ! そいつのことなんてどうでもいいから、朝食を食べましょう!!」
「そうですね。なら、朝食の準備をしてきます」
「ありがとうございます、ジェイドさん」
「いえ、お気になさらずに」
「なら、待っている間に」
ここで、カタリナ様は言葉を切った。
何だか、不穏な空気を感じる。
「オ ハ ナ シ、しましょう? そいつのことについて」
あ、やっぱり、カタリナ様、何か勘違いしている気がする!
そして、迫力が怖い!!
「……はい」
『……』
ある部屋の一室。そこに、女子2人と男子が居た。
少女の片方、が口を開いた。
『さて、王都に行きますわよ』
『え、ごめん。話が飛びすぎて全然理解できないんだけど』
すかさず、男子、太郎君――本名不明――がツッコミを入れる。
もう1人の女子は、黙ったままだ。
『貴方は推理小説に執着しているのでしょう? これぐらい、推理してみなさい』
『いや、そんなこと言われても来たばっかで全然わかんないんだって。状況がわかんないの。俺は、何でこの世界に着たんだ? 何、俺に勇者になれとか言ってきたりするわけ?』
『貴方、バカですの? まあ、確かに? 魔王に似たようなモノはありますわよ? そうだとしても! そんな、魔族だ、とか、自分は勇者だぁぁぁ、とか! 非現実的なものが現実にいるわけないでしょう。二次元と三次元をしっかりと区別なさい!』
『そんなこと言われても……。そもそも異世界トリップも俺からしたら二次元だったし』
『だまらっしゃいっ!! そもそも、魔王退治なら10年に一度魔王が復活していることになりますのよ? そんなことになったら、
最初の頃は
「キャーー」
「魔王だぁぁ!」
から、
「魔王がでたぞー!」
「……」
に、なって、
「よっ! 魔王!!」
「初めましてぇ~。それにしても、いっつも魔王って負けてるよね。まあ、頑張ってよ」
に、なってしまいますのよ! 人々も魔王を応援し出しますわ! そして、魔王が勝った暁には
「おっしゃぁぁあああ!!」
「魔王が勝ったぞぉぉぉぉ!!」
「おめでとう! 魔王!」
「よし! 今夜は宴じゃぁぁぁあああ!!」
と、人間総出で祝い出しますわ!』
『何でだよ!? 何故、自分の敵を応援し出す!? こんなことになったら、魔王はもう世界征服なんて出来ないだろ!? あー、いや、なら、魔王が勝ち続けてるかもしれない』
『魔王が勝ち続けていた場合、何故今でも世界が存続しているますの? 毎度毎度10年に一度勇者を寄越されて、世界を残しておこうと思うかしら? もし、そんなことを思っている魔王なら随分と心が広いのね? 世界征服なんてやめてしまえばいいのに』
『うっ』
『……まあ、世界征服が目的でなければそれでもいいのですけれど……』
『え?』
『いえ? 何でもありませんわ。そうね、仕方ありませんわね。簡単にですけど説明してあげますわ』
『ありがとうございます……』
『この世界は10年一人異世界からやってくる。これはもう、知っているわね?』
『ああ』
『で、貴方が今期の異世界人』
太郎君は頷き、次に続く答えを待つ。
自然と喉が鳴る。
いかにも、シリアスなムードだ。
そして、アリアが紡いだ言葉は、
『……』
『……』
沈黙だった。
『………………』
『……?』
長い、長い沈黙だった。
『……………………』
『いや、もういいよ!! え、もしかして、説明終り!?』
『終りですわよ?』
『はぁぁぁ!? 全然分かんないんですけど!? 何で、10年に一度人が来るわけ!?』
『そんなこと言われても、原因不明なんですの。説明できませんわ』
『えー…。あ、王都に行くのは、異世界人が来ましたよって王様に伝えるため? 異世界人は何か知らないけど、何かに執着しているんだろう? そして、それのおかげでこの世界は繁栄している。だから、今回も俺の知識を取り入れるために王様に会いに行くってこと?』
『良く分かりましたわね。その調子ですわ。その調子なら質問に答えて差し上げてもよろしくってよ』
『何で上から目線!? てか、なら、1つ聞いていいか?』
『なんですの?』
『あんた、誰だよ!?』
『まあ、酷いわ!! 私のことが分かりませんの!? 私ですわよ! わ・た・し!!』
『あの、私私詐欺なら結構です。お引取りください』
『まあ!! 何が私私詐欺ですの!! 酷いにもほどがありますわよ!! みんなのアイドル、マリヤちゃんですっ!!』
『えええええ!? キャラがまた違うんですけど!? キャラ崩壊も甚だしいぞ!?』
『前のときも思いましたけど、私、キャラ崩壊なんてしていませんことよ?』
『いやいやいやいやいやッ!! してるだろ!? 何処をどう見たらそう言えるんだよ!?』
『貴方こそ何処をどう見たらそうなりますの?』
『いや、見えるだろ!? 十人中十人がそう答えるぞ!?』
『答えませんことよ? だって、私にキャラなんてありませんもの』
『……は?』
『んー、強いていうなら、キャラがないっていうキャラかしら?』
『えっ……と?』
『私ね、キャラが定まっていないのよ。そう言うの決める前に始まっちゃったから』
『始まる?』
『あー、またやっちゃった。気にしないで? こちらの話だから』
『……?』
『と、言うわけでー! 私のキャラ大募集ぅー!!』
『えええええ!?』
『あ、こんなキャラのマリヤが見たい! とかでも、いいわよ。例えば、暗い子……』
『何言っちゃってんの!?』
『そうですよね……。私なんかが、人様から意見を頂こうなんて…。身の程をわきまえていませんよね。すみません、何か、存在してしまってすみません。生まれてきてしまって……ごめんなさい…』
『くらっ!?』
『フフフフフフッ、ねえ、知ってる? 人ってね、高いところから落ちると内蔵が全部飛び出すんだよ? 首吊りの場合はね? 穴という穴から血が出てくるんだ。口からはやっぱり、内蔵がでてくる』
『違う意味で暗い! てか、グロいから!! 苦手な人もいるから!!』
『と、いう感じです! どしどし、送ってください!!』
『募集するなぁぁぁぁ!!』
「ねえ、マリヤ。ちょっといいかしら」
さっきまで、全然会話に入ってこなかった、もう一人の少女、カタリナ様が口を開いた。
『あ、はい、いいですよ? どうしたんですか?』
アリアは言いながら頷いた。
それを見たカタリナ様が言った言葉は――
「ねえ、マリヤ……」
「貴女、そいつと何を話しているの? 言語が分からないから、聞き取れないの」
………………。
「『あ……』」
ごめん、カタリナ様。
やっちゃった☆
「じゃなくてっ! すみませんでしたぁぁぁ!!」
「あ、いや、いいのよ? 例え、何を言っているのか分からなかったけど。貴女がとても楽しそうにしていたんだもの」
「うわっ、本当にすみません!!」
一生懸命アリアが謝っている最中、太郎君は思案顔。
何か、思い当たることがあるのだろうか。
「どうかしたの? 太郎君(仮)」
『(仮)ってなに!?』
「え、だって、カタリナ様に太郎君という名前だって間違って覚えられてはいけないじゃない」
『え、何? 俺本名出す機会があるわけ?』
「そりゃあ、王様に偽名なんて言えるわけないじゃない!!」
『あ、確かに……』
「で? どうしたのよ? そんなに考えてますぅーって、顔して」
『うん。俺のこの言語はアリアしかわからないんだよね? アリアは力でこの言語を理解しているわけだし』
『さらっと、アリアって呼ばないでくれる!? まあ、そうね。実際には、前の言語を覚えていたから直ぐに話せるようになったんだけど…』
『いいじゃん。別にカタリナ様は俺のこの言語を理解してないんだし。うん。ならさぁ……』
『ちょっ、溜めないで!! また、推理小説の雰囲気になっちゃうでしょ!?』
『いや、推理小説は俺好きだから、雰囲気になってもいいし。てか、大歓迎』
『歓迎しないでっ!』
『なぁ、何で……』
『無視すんなぁぁぁ!!』
『長いわ! 早くいえ!!』
『ああ、ごめん。何か楽しくって』
『で? 何が問題なのよ』
『うん、実は……』
『もういいっつの!』
『何で、ジェイドさんは俺たちの会話にすんなりと加われたんだろう……?』
『無視して、無理やりすすめんなッ!!』
あ、でも、確かに……。
あー! 私が感じていた違和感ってこれだったのね!
『ジェイドさんは、俺たちの言葉は理解しているようだった。ジェイドさんは、何で理解出来るんだ……?』
ジェイドさんは、何者?
て、ああーー!! また、推理小説の雰囲気に呑まれたぁぁぁ……。




