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かわいい少女に癒されたい—転生したので、居場所を失った少女を拾うことにした—  作者: 夢見る冒険者
黒髪の少女編

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第29話 勝利の報酬

勝利して、選手用の入り口から出る。当然のように俺を迎えてくれる人はいない。そう思っていたのに。扉を開けた瞬間、3名の少女が視界に入る。その一人、青く透き通った瞳が綺麗な、銀髪の少女が俺に気付き、胸元に飛び込んできた。


「レオニス様っ……!」


少女の細い腕が俺の肩へと回され、メイド服の柔らかな感触が胸元に触れる。俺は飛び込んできたエリシアに衝撃がいかないよう、膝や脚、それに腰を使って衝撃を吸収する。すると、ひんやりとした頬が、俺の頬へとあたり。次いで、髪がふわりと降りてきて、俺の鼻先を、甘くフルーティーな香りが漂った。


(……はぁ~、めっちゃ癒される~)


エリシアを抱きかけた瞬間、今までの緊張感が嘘のように張れる。そのおかげで、ようやく面倒な戦いから解放された実感が湧いてくる。同時に、その温かさに心が満たされ、思わず表情が緩んだ。


そんな俺に対して、エリシアが顔を少し離し、満面の笑みをプレゼントしてくれる。


「やっぱりご主人様は最強ですっ」


なんて、まるで自分事の様に嬉しそうに微笑む。その姿を見ていると、心の奥から満たされていく感覚があった。


(そうだよ、俺が求めてるのはこういった無邪気な笑顔なんだよ!!)


と心の底から思う。転生してからずっと奔走してきてきた14年。それが全て報われた気がする。


こんな風にいつもエリシアは好意を伝えてくれるけれど、俺は受け取っているだけで、中々気持ちを伝えられていな気がする。それは自分の臆病さゆえに、好意を伝えて引かれることを怖れたい多分もある。


まぁ、それ以上にエリシアが可愛すぎるから、なんとなく気恥ずかしい気持ちもあった。でも、こんなにも好意を伝えてくれて、想ってくれていると分かる。だから、自分の想いとか、本心を伝えたいって思ったからだろう。


「やっぱり、エリシアはかわいいな!」


なんて、言葉が漏れ出る。それにエリシアは驚いたように俺を見つめ、ぶわっと頬を赤くした。そうして俺から逃れるように、胸を押す。


(……さすがに、まずったな)


逃げれない状況でいきなり思いを告げるのは流石に、きもいか?そう思って彼女をそっと降ろそうとする。すると、


「降ろしちゃダメです……」


と恥ずかしそうに、口元を左手で覆いながらも。俺の右腕の制服部分をぎゅっと握る。まだ、若干頬が上気していて、肩も緊張しているのか若干震えている。それでも、俺の瞳をしっかりと捉えながら口を開く。


「嬉しくて、恥ずかしくて、照れただけですから……」


と少し震えるような声で気持ちを伝えてくれる。俺が驚いたように固まってしまう。その間も視線は合っているからだろう。また、恥ずかしそうに頬を赤く染め、視線をふいっと逸らす。今度は顔を両手で覆いながら。若干俯きがちに、俺の胸に蹲った。


……うちのエリシア、可愛すぎませんかね!!


耳まで真っ赤に染め、恥ずかしさから少し震えている。その振動が胸元から体全体に伝わってくる。徐々に体温が上昇して、ほんのり温かさが増し、俺自身の心音も大きく、鼓動も早くなっていくのが分かった。


(……バレてないよな?)


と息を殺しながら、なんとか動揺を悟られないようにしていたのだが。ふいに俺の表情をエリシアが見つめるために、顔から手を離し見つめる。そして、安心するように、柔らかい笑みを浮かべた。


「ふふっ、レオニス様も、同じなんですね」


なんて、俺の心音を聞くように、耳を胸元に当てる。彼女の感触がより鮮明に感じた。胸元から、彼女の骨格、耳のコリコリした少し硬い感触が伝わる。


当然のように自分の心音は大きなっていき、その振動が自身の耳元まで伝わってくる。その音も、徐々に大きくなっていく。


(……ってか、恥ずかしいんだけど!!)


なんて、自身でも分かるほど頬が赤くなる中、エリシアはずっと穏やかな顔で俺の心音を聞いていた。エリシアが満足するまで……。




***



あれから10数分くらいは同じ様な状況だったが、互いに満足して離れる。その間、フェリシアとアルシェリアは待ってくれていたようで、ずっとそばに控えてくれていた。


(……というか、声かけてくれてよかったのに)


未だに、耳に熱い熱を感じる中、内心でそうぼやく。……まぁ、途中からは俺も彼女の温もりに胸の内が満たされたので良かったのだけど……。


だれかと抱き合う行為。それが予想以上に心を満たすもので。ついつい、心の底から求めてしまった。


(エリシアにお願いしたら、もう一度くらいやってくれるかな?)


なんて、少し寂し気な表情をしたからだろうか?


「ご主人様、また抱きしめるの、お願いしても良いですか?」


としおらしい態度で、もじもじと手を組み合わせながら、提案してくれる。


「うん、むしろ俺からお願いしたい」


そう伝えると、ぱぁ~っと桜が咲き誇るような笑みを浮かべる。そして満足そうに、微笑むのだ。


「ありがとうございますっ」


って。俺の心まで満たしてくれる。二人して、ひとしきり笑みを交わす。そして、満足した気持ちを抱く中、タイミングを考えて、フェリシアが労わってくれる。


「ご主人様、お疲れ様です」


なんて笑いかけてくれる。いつもフェリシアは、優しい声色で迎え入れてくれる。その安心感にいつも癒されていた。そっとより添う少女に俺はいつも救われていた。


さて、アルシェリアはどう思っているのだろうか、そう思い、少女の方を振り向くと何やら考え込んでいた。俺はふっと笑みを浮かべながら尋ねる。


「アルシェリア、さっきの試合、どうだった?」


俯きながら考え込んでいた少女は顔を見上げて、目を見開いていた。これは少し興奮している時の顔だなと分かる。


「……二人の戦い、すごく参考になった」


目を爛々と輝かせるアルシェリアの表情は、いつもより少し柔らかい。


「特に、あなたの魔力の流れ……すごく洗練されてた」


興奮しいてるのだろう、紫がかった瞳に魔力が宿り、きらきらと眼を輝かせながら、尋ねてくる。


「私も……できる?」


その問いには、不安よりも期待の方が強く滲んでいた。自分の可能性について言及する少女はどこか確信を持っているようで。俺はその問いに頷いて返す。


「もちろん。アルシェリアなら、きっとこの領域に届くよ」


魔力の流れを視認できる。その才能はきっと、俺やアルシェリアのように特殊な光、闇という属性を扱えるものが得意とするものだから。


誰かに力を与える光属性。誰かから力を奪う闇属性。それはきっと、相手に干渉する魔法で、魔力の変化にも敏感なんだと思う。だからこそ俺は確信している。アルシェリアはきっと、その感覚を利用して、俺の様に魔力を自由に操ることができるって。


それを示すのにちょうどいいのがきっと魔力変換率だろう。あれは、自身の魔力を完璧に制御して極地的なもの。明確な目標としてきっと機能する。そう考えて、アルシェリアに数値を伝える。


「魔力を自由に扱うことが出来る指標の一つが魔力変換率で。現状、アルシェリアの数値は詠唱破棄で87パーセントってところだな」

「87。それはどれくらい凄い?」

「一般的に70以上で優秀、80以上は天才、90以上は天才が努力した先だな」

「じゃあ、あなたの99は最高?」

「……そうだな、こと変換率に関しては俺以上の者にあったことがないな」


そもそも、魔力の流れを可視化できる人間が少ない。その才能を多く有している、光属性に適性がある自体かなり少ない。確か、魔法を伝える者の内、0.001パーセントにも見たない筈だ。


教会でも使える人間は少ないからこそ、かなり優遇される。闇属性なんていったら、数人なのでもっと少ないことになるんだけどね。


しかも、光属性に関しては主に治癒魔法といった、戦闘能力を必要としない役割が多く。変換率よりも、使える魔法の多さや、上級魔法の取得などに力を注ぐことが多い。


戦闘経験が豊富なほど、変換率は上がりやすいので、アルシェリアの方が有利だろうな……。俺の言葉にアルシェリアが目を輝かせて見つめる。


もしかして今、尊敬されてる?そんな期待感を抱く中、


「やっぱり、あなたは凄い」


なんてポツリと感心したように呟いてくれた。


……今回の戦い受けた甲斐があった。そう感慨深く、俺は天を仰いで、運命の女神様に感謝した。


エリシアの温かな感触に胸を満たされ、感心したように呟くアルシェリアの言葉に、幸福感が増す。そして、フェリシアの安心感をついぞ実感した。


やっぱり少女は最高だ。一人深く頷いている中、アルシェリアの期待に満ちた視線を感じ、そちらに振り向いて視線が合った。そうして、目を輝かせながら口を開く。


「今すぐ試したい」


と。その貪欲な姿勢に前を向き出した積極的な言葉に、つい笑みが零れる。


「なら、今すぐやろうか、丁度個別の鍛錬場も使えるなったことだしな」


って返すと、アルシェリアは深く頷いた。


今回の王子との一騎打ち。それを受けた最大の理由が、みなの鬱陶しい視線が集まるような訓練場から抜け出す事。そして、かわいい少女三名と一緒の空間にいられる鍛錬場を使えるようにすることだった。


……ほら、もしかしたら、間違いだって起きるかもしれないじゃん?だから、ね?


そう思いルンルン気分で、手続きを終わらせる。王子が付けていた物とは別で、No.1と刻まれたバッジを作成してもらい鍛錬場の鍵を貰いうける。まさか、1位だけは専用の訓練場があるとは……。規模大きさに驚き受ける。


そうして、貰い受けた鍵で、鍛錬場の扉を手を置く。


「開ける前って、中がどうなっているか、わくわくしない?」

「……? そうでもない」


俺の気持ちが理解できず、アルシェリアは少し首を傾げる。それに対して、少し振られた気持ちになりつつ、俺は扉を開けた。瞬間目に入った、光景に思わず言葉が漏れる。


「うわっ、すっげーー」


流石王立の学校というべきだろう。1位に与えられる鍛錬場は、みんなの共有スペースの倍はある場所だった。天井までの距離は約14m。横30m×縦50mの大きな空間が広がっている。


中世の鍛錬場を連想させる、煉瓦と木の柱で出来た鍛錬場。壁の上部には窓ガラスが付いており、光が差し込んで来る。けれど、その窓から除くことができないように、魔法でプロテクトもされていた。まさに魔法の開発など、完全に秘密にできる、プライベートな空間といった感じだった。


アルシェリアのその規模の大きさに、目を大きく見開いた。まさか、外から見た建物全部が、訓練場の施設だとは思っていなかったのだろう。興味深そうに、全体を大きく、顔で円を描きながら、その規模の大きさに感心していた。俺もまさか、建物全て使えるとは思っていなかったからテンションが上がる。


「すごい、ここなら色んな魔法を試せる」


……そうだよね。魔法関連だよね……。いや、ほら、男子なら分かるでしょ?建物自体に興奮する気持ちが。


その、中世っぽい石畳の雰囲気とか、無駄に広い空間にテンションが上がったりするの。わかる、よね?


そう思ったのだが、今ここに居るのは女子ばかりで、あまりピンと来ていなさそうだった。うん。温度感が違い過ぎる……


そっか~、俺だけか~。と少し寂しい気持ちを抱きつつも、やっぱり、だだっ広い空間を占拠している感じは、テンションが上がっちゃうんだよね~。それに、この少し冷たさを感じる質感にもね!


なんて、一人はしゃぎつつ、俺はアルシェリアの指導をしていくのだった。

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