第18話 少女と添い寝する、幸せな旅路
場所に揺られながら、旅をする。その空間はまさに天国だった。
エリシアの方は俺のそばにぴったりとくっついて、そのふにゅっとした柔らかい感触を左腕に当ててくる。一方で、反対の右腕にはニィナがぎゅっと腕を抱きしめ、温かな感触に包まれる。鬼人族特有なのかな?ぽかぽかしてくる~なんて、昇天しそうだった。
まだ、胸の方は発達はしていないが、二の腕の柔らかい感触がたまらない。なにより、むっちりとした太ももの感触を俺は手の甲で楽しんでいた。
(……すっごい、反発してくる。これを枕にしたら——)
と思考は明後日の方を飛んでいた。その事にエリシアが気付いたのか、少し剝れたように頬を含まらせて、俺の手を膝の上にやる。そのすべすべした、ひんやりとした感触に、思わず手を這わせてしまった。
「……ひゃっ!」
といって、驚いた彼女は少し涙目になりながらこちらを見つめる。
(……やばい、やり過ぎた)
と背中に冷や汗が伝わる。当然視線は俺の方に集まってくる。ミアハのにやにやした表情。フェリシアのにこやかに笑っている表情。(……これ、少し怒ってない?)それと、ニィナの何が起きたのか理解できていない、ぽかんとした表情が視界にはいる。
……どうか、そのままでいてください。そんなことを考えながら、エリシアの様子を窺う。そこには未だに潤んだ彼女の表情だあって、謝るために口を開きかけると—
「……そういうことはまだ、心の準備ができてない、です」
エリシアは頬を赤く染めながら、恥ずかし気に告げる。上目遣いで少し目に涙を溜める姿に、思わず唾をごくりと飲み込んだ。
じゅ、準備ができたら……その、してもいいのでしょうか?って。思いつつ彼女の方をじーっと見つめてしまう。その時間がかなり長かっただろうか、
「こっちも見て」
なんて、ニィナが俺の顔を小さなおて手で挟んでくる。そうして、か弱い力を振り絞って、俺の首を回転させる。すると、エリシアがまたぎゅっと、俺の左腕に抱きついてくる。
「こっちも見てください」
と。そうして、二人に挟まれ、身体を引っ張られながら俺達は旅をする。
最っ高!!
***
そんな幸せなふわふわパニックにあいながら進む旅の中。当然疲れも出て来る子もいて、頭を揺らしながら、ニィナが眠ってしまう。こくりこくりと体を揺らし、前方に倒れそうになる。
それが不安でつい、彼女の身体を俺の膝に倒した。馬車自体は大人三人が横に並んでも余裕だ。だからこそ、エリシアに少し詰めてもらって、彼女を膝の上に乗せようとする。
それを察しのだろう。エリシアは目の前の席に移り、ニィナが横になりやすいように気を使ってくれた。俺は彼女の気遣いに感謝しつつ、ニィナを横に倒して、膝枕をする。
綺麗な黒色の髪が、俺の膝の上に乗り、さらりと俺の方に落ちる。……綺麗だな、なんて少女の顔を見つめる。
その表情は、寝返りを打つたびに、幸せそうな微笑み変わり、つい、愛らしくて頬をふにゅっと突いてしまう。すると、少し険しい表情になって悪いなと思った。
髪をなでると、柔らかい笑みを浮かべて、頬を緩める。それが可愛らしくて癒されていた。そんな時間も1時間もすれば、終わってしまい。彼女が、目をゆっくりと開けて、閉じてを繰り返し起きあがる。
ニィナは、数秒して自分が置かれた状況に気付き、がばっと勢いよく起き上がる。そして、俺の顔を確認して、頬を真っ赤に染めていた。
自分の頬が緩むのを確認しつつ、「可愛かったよ」と伝えると、ニィナは耳まで真っ赤に染めた。そして、顔を隠すようにカタツムリのように丸まってしまったのだ。
(……なに、この可愛らしい生き物は!!)
なんて狂喜乱舞していた。もちろん、心の中でね。
……まぁ、その後に、お尻のシルエットが強調されて……なんとも言えない気持ちになったのは内緒である。フェリシアとエリシアの視線が鋭くなったような気がするが、それも気のせいである。……そう思いたい。
***
さて、この馬車の素晴らしいところはそれだけじゃなかった。特に素晴らしいのは、ミアハの胸が凄いことになっていること!
推定Eカップはあるその胸が、馬車の振動によってぽよん、ぽよんと揺れるのだ。胸の上にたなびく、金色の髪と共に。
そんなもの当然男性なら気にならないはずがない。だからこそ、つい視線はいく。男性なら当然のように見つめるし、見入ってしまう。
だけどね……その視線に女性陣は敏感だった。エリシアがぷくっと頬を膨らませて、フェリシアは自分の胸に視線を落とした。ミアハの方も胸に視線を落とすが、揶揄うように、にやっと嫌な笑みを浮かべる。
(……頼むから、なにも言うなよ)
と思うが。彼女は楽しそうに自分の胸に両手で持ち上げて、たぷんたぷんと揺らす。
「ご主人様~、これが気になるんすか?」
と。恥ずかしげもなくするその行為に当然、俺は体を少し前のめりで見てしまった。エリシアとニィナ、その二人に抱きつかれていることを忘れて……。
当然のように、少女たちもつられて、少し前のめりになってしまう。
「…………」
エリシアとニィナは驚いたように俺の方を見つめてから、自分たちの胸に視線を落とす。エリシアの方は自分の胸をペタペタと触り、ミアハの方を見つめて愕然とし。ニィナは依然として自分の胸に目を向けたままだった。
反対側に座るミアハはその様子をけたけたと笑いながら、腹を抱えている。
(……こいつ)
と思うのだが、彼女が笑うたびにメイド服のスカートも揺れるわけで、丁度膝上にあるせいか、中が見えそうになってしまう。そこに視線がいって、更にみんなからのじとーっと問い詰めるような視線を受ける。それを見たミアハはまた爆笑していた。
(……勘弁してくれよ、ミアハ)
という表情を醸し出しつつも、やはり眼福だったなと内心では満足をするのであった。こんな瞬間があるからこそ、ほんと、四人を連れてきて良かった~なんて思いつつ、宿に着いた。
宿に入れば当然、同じ部屋を取る。決して下心とかではなく、万が一。そう、万が一少女たちを守るための決断だという事を理解してほしい。
えっ、以前のエリシアと寝た時のことを覚えていないのかって?それは当然覚えているので、安心してほしい。抱きつかれるような状態は作らないよう、大きなベッド1つと中サイズが二つ。それと小さいサイズ一つある部屋をとった。
つまり、俺が中サイズを使えば最低でも二人が大きなベッドで寝ることになる。すると、どうなるのかは想像つくだろう。
そう、可愛らしい少女が寄り添いながら眠る姿を確認することが出来る!なんなら、抱き合ったりして、微笑ましそうに笑っている姿を見れたらパーフェクト!!
なんて思っていたのだが……なぜか、誰が俺と寝るかでジャンケンをしていた。エリシアは分かるんだけど……他の三人が参加するので呆然と見つめてしまう。
ミアハの場合は、俺たちの反応を楽しみたいという欲が透けて見える。ニィナは、意外にも寂しがりやで人見知りだからだろうな……。フェリシアの方は、俺が間違いを起こさないための監視ってところかな、馬車でも鋭い視線を向けられたし……。
そうして始めったジャンケンの勝者はフェリシアが優勝した。勝ったというのに、嬉しさよりも驚きがかっているのは、解せない。
(……少しは嬉しがったり、意識してくれても良いと思うんだけどな~)
と思って彼女の表情を窺うが、相変わらず彼女はジャンケンで勝ったまま、チョキに作られた手を見つめていた。
そんな彼女だからかな、特に抱きつかれることもなく、普通に寝息を立てている。ベッドに入る際、顔を赤らめたり、俺のことを見て、躊躇うこともせずにスッと入っていった。
(……ほんと、照れてくれていいんだよ?)
本来嬉しいはずの、少女と一緒に眠る行為。なのに、なんでかな、意識されない悲しみが胸を満たすのは。
でもね、改めて見つめる、フェリシアの表情に俺は胸を満たされた。いつものような、誰かを支えるために頑張る少女のものではなく、無防備な少女の顔。
普段と違う様子だからか、それとも隙のない少女の初めて見せる、無垢な表情についつい見つめてしまった。安心はしてくれているという、安堵感に胸が満たしていく。
そのまま一時間ほどフェリシアの寝顔を堪能し、俺も眠りに着くのだった。
***
さて、そんな楽しい王都への旅路も、間もなく終了してしまう。あれから4日間。代わりばんこで、エリシア→ミアハ→ニィナと一緒に眠った。エリシアだけは俺を抱き枕にしようとするので、なんとか耐えてもらった。
そういえば、ミアハの方はわざと俺に身体を当てて、その時の皆の反応を楽しんでいたんだよな。
もう少し恥じらいがあるとこっちも興奮出来るんだけどね……。と内心で思いつつ、身体の方は正直でしたよ!えぇ、それはもう、ね……
エリシアとフェリシア、それにニィナまでもがむすっとした表情を向ける中での彼女の言い分は——
「仕方ないんすよ。ほら、私もご主人様と同じくらい大きいじゃないですか~。それに、胸なんかもありますし」
といって布団を身体に押し付けるのだ。当然、胸のシルエットが浮かび上がってくるし、視線もいってしまう。
ほんと、一緒に眠るこっちの身にもなって欲しい。先程の光景を思い出しては寝返りを打ってしまう。
当然、寝付けなくて、チラッと彼女を確認した先には、いたずらっぽい笑みを浮かべるミアハがいるのだ。こっちが、どれほど理性と戦っているのかも知らずに!!
ほんと、普通の男性なら絶対に押し倒していたからね!ミアハ!!
ニィナも同じように俺に近付いてくるのだが、それが好意というよりも安心を求めているのが分かって癒された。俺との距離を探るように少しづつ近づいて来て、そして、服の裾をぎゅっと握るのだ。寝間着のラフな格好。そのパジャマの服の袖の部分をちょこんとにぎる姿に俺は一人悶絶していた。
(可愛すぎでしょ——って)
たった一人だけ、唯一の癒しだったのを覚えている。
最後の日は何故か、ニィナとエリシアを二人側に置いて寝ることになったのだが、それもまた最高だったな~。二人とも他の人がいると恥ずかしいのか、少し距離を離しつつも、手を伸ばしてきて、当たるとびくんと驚いて、でも表情を緩める。ほんと、屋敷でもやって欲しいと切に願う。
そんな幸せなことを思い出している内に検問を通り過ぎていよいよ、王都内に入るのであった。




